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彼岸花を抱いて

第4章 安定と初陣





「大丈夫ですか?」




ディアが姿を消してから凛は、ぐったりと寝転がって一部始終を見ていた智晃へ声を掛ける




智晃
「おう……何とかな…」



痛みに顔を歪ませながらも何とか上体を起こして、凛を見上げる。
彼女が持っていた鎌を軽く上へ投げるとそれは最初からここに無かったように消えていた





「ペインヒール」




凛は膝を突いて智晃のボロボロになった身体に掌を翳して痛みを無くす呪文を詠唱する




智晃
「お…痛くなくなった。さんきゅ」


「いえ」



凛は優しく微笑んだ。
それを見た智晃は安心したように息を吐いた
先程のような無表情の凛はどこにも居なかった。
だから、智晃は口を開いた




智晃
「なぁ、凛」


「はい?」

智晃
「さっきの…白いでっけぇ鎌って、何だ?」




その問い掛けに凛は少しだけ黙る





「すみません。…今はお教え出来ません」

智晃
「な、何でだよ」


「今は…すみません」



ゆっくりと頭を下げるの凛を見れば、智晃は慌てて話題をかえた



智晃
「そ、そういやリーオって何だ?」


「リーオさんというのは私が居た場所に現れた男性の吸血鬼です」

智晃
「勝った…のか?」


「はい。…脚をグサッと」

智晃
「お前…」




物騒な事を笑顔で話す彼女に疲れたように肩を落とす





「それで彼が教えてくださったんです。今回、人間を襲っていたのは智晃と居た女性とリーオさんの二人だったそうです。理由もお昼に私が言った通り美味しかったから…だそうです」

智晃
「いや、待てよ。何で美味いって分かったんだよ」


「転んだ子どもを助けて、傷を手当てしてあげている時に指に血がついたらしく試しに舐めてみたそうです」

智晃
「それが、あの二人っつー事か」


「はい。でも、大丈夫です。もう襲わないと約束をしていただけましたから」



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