第4章 安定と初陣
智晃
「くっ…そ…!」
「ゲイル!」
智晃がボロボロに蹂躙され、殺気に満ちた空間を切り裂くように届く声と突風
智晃
「……っ…は……凛…」
身体を覆い尽くす痛みに顔を歪ませ、霞む目を凝らす
ディア
「何っ…なの、あんた…!」
凛
「静かにしてください」
ディア
「ぐ…っ…!」
智晃
「………っ」
智晃は目の前に広がる光景に目を丸くする。
闇の中に浮かび上がる横に持たれた白く大きな鎌の柄が、大木に押し付けられたディアの首へ食い込んで彼女は苦悶の表情を浮かべている
凛
「人間をリーオさんと二人で襲っていたそうですね」
ディア
「何で…それ…っ、く…まさか…!」
凛
「リーオさんならお帰りになりましたよ。…もうこんな事はしない、と約束を残して」
柄が喉に食い込んで話し辛そうにしつつもディアは会話をやめる気はないようだ
ディア
「それで…っ?」
凛
「貴女も約束してください。人間を襲わないと」
ディア
「そんな、事…っ」
凛
「出来ませんか?」
いつも暖かい凛の声が一気に肌を刺すように冷たくなるのと同時に鎌を持っていない片手をディアの晒されている腹部へ当てる
ディア
「ひっ……わ、分かった…!もう…しないっ…今まで通り…っ、死んだ人から…とる…!」
彼女の雰囲気や掌にすっかり怯えきったディアは身体を震わせながら言葉を溢す
凛
「分かりました」
ディア
「はぁ…っ…はぁ…」
解放されたディアは首を押さえながら荒い呼吸を繰り返し、どこからか出した黒い玉を地面に放るとそこだけ底無し沼のようになる。
そして、ディアはそこへ落ちていった