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彼岸花を抱いて

第4章 安定と初陣





「…ぐっ……!」


「キャトル」




男は焦った。
鎌の先端は左太腿を貫通し後ろの木に刺さり固定されてしまっているにも関わらず魔法で拘束されてしまった



先程まで浮かんでいた笑みなど今の男にはない。


痛みと焦りの滲んだ表情でゆっくりと歩いてくる凛を見ていた。
拘束を解く魔法を知っているのに、押し潰されそうな恐怖と脚の焼けるような痛みに声が出ないのだ






「そろそろ…吐いていただきましょうか」













──────────








智晃
「……っ…!」

ディア
「うっ……」




呪文を詠唱せずに無理矢理、拘束魔法を解くと
今にも首筋に噛み付こうとしているディアの腹部に勢い良く膝を振り上げた


その衝撃でディアの身体は後ろへ下がり咳き込む




ディア
「魔法を…っ…力業で解くなんて…」




智晃は間一髪の所で危機を脱した。
かけられた拘束魔法を必死にもがき続けて解いたのだ




智晃
「はぁ…はっ…」




急いでディアと距離を取る



智晃
(拘束魔法を解く為にもがき過ぎて体力使いすぎちまった…!相手は吸血鬼だ逃げるのは出来ねぇ…けど、傷付けるのも…っ)



戦わずに済む方法はないのか、必死に頭を回転させてディアから視線を逸らさずに見ていると、彼女は既に余裕気に笑みを浮かべていた




智晃
(くそ…やるしかねぇ…!)




覚悟を決めて智晃がディアへ掌を向けても彼女は笑みを崩さず防御体制も見せない。
理由は智晃が人間だからだ。
人間は大した攻撃魔法が出来ない




智晃
「無駄な抵抗くらい…してやる!……グリン!」



瞬間、閃光が走りディアが怯んだ隙に距離を一気に詰め




ディア
「……っ!」




ディアの頭部を掴み顔面に膝を食らわせ
ふらついたディアに回し蹴りを素早くお見舞いする



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