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彼岸花を抱いて

第4章 安定と初陣




その頃、凛は智晃がいる所よりも暗い森の中を歩いていた。
ここの通りは良く商品の仕入れ時に人間が近道として使っている所だった



辺りの様子を窺うように歩いていると時々、木の枝を踏みパキッと音をたてその音が妙に響くように感じる。






「いつまで隠れているつもりですか?」





開けた場所に辿り着いた時に凛は今までついてきていた気配へ静かに声を掛けた。


すると、カサカサと音をたてて現したのは背のすらっとした男だった




「何だ。バレてたの」


「当たり前です」


「ふーん、君…意外とやりそうだ」


「試してみますか?」




男から送られる不躾な視線に、嫌な顔をする所か全く気になっていないようで凛は普段通りの笑みを浮かべていた




「その言い方だと偶々、入ったんじゃなくて僕を捕まえる為にこの森に入ったんだ。しかもそれは、人間を襲う理由を聞く為に」


「ふふ…正解です」





二人は一定の距離を保ちながら言葉を交わす






「さて。…お喋りはここまでです」


「僕を殺す?君は何故、生きた人間を襲うのか知りたいんじゃないのかい?」


「ええ、知りたいです。でも、動かせるのは口だけで充分ですので」




にこりと更に笑む凛に男は初めて不気味そうに顔を歪めた。
だが、次にはもう笑みを浮かべていたのだ。




「君みたいな子がボロボロにやられるのも、見てみたいね…?」




そう言葉を投げ掛けられても凛はもう会話をする気がないのか男に向けて掌を向けた



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