第4章 安定と初陣
その様子を見る度に智晃は良い友人が出来たな、と染々思うのだ。
凛が加わり同じような行動を見せる彼女にその思いは二倍だ。
春太
「そういや、魔法の特訓はどうなんだ?」
智晃
「…まぁ、最近は安定してきたな」
春太
「へー、すげぇじゃん。智晃ダメダメだったからなぁ」
智晃
「うるせーよ」
凛
「でも、事実ですよ?」
智晃
「お前らなぁ…」
苦笑しながら肩を落とす智晃を見て二人は楽しそうに笑っていた
春太
「あ、そういやさ」
不意に何か思い出した春太の言葉に二人が顔を向けた
春太
「ここ最近、変な奴が出てるらしーぞ?」
智晃
「変な奴?」
春太
「おぉ。何か襲われた人等の話ではいきなり魔法で拘束されて、首に噛み付かれんだって」
凛
「……、吸血鬼…ですか」
ストローを咥えながら話す春太の言葉を聞いていた凛が、呟くようにそう発する
春太
「やっぱそう思う?」
智晃
「けど、吸血鬼って決まったわけじゃねーんだろ?」
春太
「そうだけど、間違いねぇだろうな」
智晃は首を傾げて春太の続きの言葉を待つが、紡いだのは凛だった
凛
「吸血鬼に噛み付かれるとしっかりとした証拠が残ります」
智晃
「証拠?」
凛
「食事を終えた後に、です」
智晃
「牙の痕か…!」
やっと理解した智晃の言葉に春太が頷く。
決して吸血鬼は珍しい存在ではなかった、普通に街を歩いているので出会った事だってある。