第3章 謎の特訓…と、遭遇
智晃
(何か…何か…っ)
智晃が考えている最中も警察官と男達のやり取りは交わされている。
両脇の男達が持っている麻袋は、パンパンに膨れ上がり強盗をしてきたのは明らかだ
智晃
(魔法を…使うしか…!でも、失敗したら凛が…)
そこまで考えてから智晃は拘束されている凛へ再び目を向けると、何かを伝えるように彼女もまた智晃を見ていた。
その瞬間に智晃にはある言葉が甦る
『“何の為に使いたいか”の感覚です。先程は“絶対に動かす”というちゃんとした意思を持っていたので、動きました』
それは、凛に言われたものだった。
智晃
(何の…為に…)
何かを決意したような智晃の瞳に凛は微かに笑みを浮かべていた
智晃
(失敗は、許されない。……ぜってぇに…凛を助ける!)
智晃は両手に持っていたジェラートを両脇の男に向けて思い切り投げると、それに驚いた男達は慌てて掌を向けようとしたがそれよりも先に
智晃
「キャトル!」
智晃が捕らえる呪文を詠唱し、両脇の男達の両手は拘束されて後ろへ倒れ込む
それと、ほぼ同時進行で智晃の行動に動揺した拘束男に凛が声を掛ける
凛
「……この手を離してください」
拘束男
「あ?う、うるせぇ…人質は人質らしくしてろ」
凛
「離してください」
先程よりも強みのある声を発してから人差し指を拘束男の腕に触れさせ
凛
「キュリュリータ」
小さく呟くと拘束男の腕がゴキッと鈍い音をたてて捩れる
拘束男
「ぎゃあ…っ!」
智晃
「おい、凛!やりすぎだっ」
凛
「あら、ムカついたのでつい」
智晃
「つい、じゃねぇよ…」
驚く程いつも通りの彼女に智晃は呆れるしかなかった