第3章 謎の特訓…と、遭遇
智晃
「ちょっと待ってろ」
凛
「え?あ、はい」
智晃は凛にジェラートを買う為に赤い屋根の移動販売車へ走っていくと、笑顔が印象的な女性に違う味のジェラートを二つ注文し出来上がったカップを受け取り挨拶をする
その頃、凛は立っている横にある大きな噴水を見上げながら智晃が戻ってくるのを待っていた。
カサカサ──
後ろから草が何かに掻き分けられるような音が聞こえて凛が振り向こうとした、その時…
智晃
「凛…っ!」
智晃の焦ったように叫ぶ声と同時に後ろから首に何者かの腕が回され拘束されていた
女性客
「きゃああっ…!」
一人の女性の悲鳴により、その場で硬直していた人々は雪崩のように広場から出て行く
それと入れ替わるように黒の洋装を身に纏った警察官四人が広場へ入ってきた
たが智晃は凛と拘束する男、その両脇にいる二人の男にしか意識が向いていなかった。
拘束男
「こいつの命を奪われなくなかったら追うのをやめろ」
凛の首筋へ短剣の先端を押しあてながら男は低い声で告げた。
智晃は短剣を押しあてられている凛が心配で彼女と視線をあわせると、どこか彼女は落ち着いていてその目に恐怖は存在していなかった
その場に緊迫した空気が漂う
智晃
(くそ…どうする…っ?)
焦る智晃は眉間にシワを刻みながら必死に頭を回転させる
智晃
(本当なら凛はあんな奴等、簡単にどうにか出来る筈なんだ…だから、あんな落ち着いてんだ…!)
だが、刃物をあてられて落ち着いているのはおかしい…とは智晃は思わなかったようだ