第3章 謎の特訓…と、遭遇
智晃
「気にすんなよ。…何つーか、嫌いとかそんなん意識せずに魔法を使えたのなんて初めてだったしよ」
凛
「…ありがとうございます」
智晃からの言葉に凛は嬉しそうに、ふわりと微笑みを浮かべた
それから、二週間ずっと放課後にオレンジが闇に包まれるまで続けられた―…
【智晃 side】
智晃
「ただいまぁー…」
疲れがのし掛かる身体を引き摺って帰宅し、普段より重く感じるドアを開けて帰宅を知らせる
「おかえり、智晃……あら?」
パタパタとスリッパの音を響かせて玄関まで来た母さんが俺の背後にあった人影を見付けると不思議そうに声をあげる。
凛
「初めまして。花澤 凛と申します。こんな時間にお邪魔してしまい申し訳ありません、お母様」
母
「あらあら、まぁまぁ…ご丁寧に。ささ、上がって上がって」
凛
「すみません、ありがとうございます」
智晃
「もうちょい渋ると思ったんだけど…」
母
「あら、何言ってるの。こんな時間に帰すなんて危ないじゃない」
眉根を寄せて母さんは俺の頭を軽く叩きやがった
智晃
「ってぇよ…たくっ」
そんな俺の苦情なんて聞いている訳もなく、さっさと中に戻ると大きな声をあげた
母
「お父さん、大変よ!智晃が可愛らしい女の子を連れてきたわ」
父
「何?それは大変だ。しっかりもてなして差し上げないとな」
その会話を聞きながら俺は大袈裟に溜め息を吐くと、彼女の前にスリッパを置いて中に入るよう促した