第15章 この世界の事
少年1
「あ、凛様だ…!凛様ー!」
少女1
「え、凛様?」
少年2
「本当だ!」
少女2
「……凛様」
噴水広場で遊んでいた子供たちが大勢の中にいても白く目立つ彼女を見付け、太陽のような笑みを浮かべて走ってくる
凛
「まぁ、皆さん」
少女1
「こんにちは、凛様」
一人の少女がワンピースを両手で広げながら頭を下げ愛らしく笑む
凛
「こんにちは。何をしていたのですか?」
少年1
「追いかけっこです!」
少女2
「お兄さん、だぁれ?」
少し控えめな少女が智晃のジャケットを引っ張りながら問い掛けると、彼は視線を合わせるようにしゃがみ
智晃
「俺の名前は智晃。城で「凛様の恋人か!」
説明をしようとしていた智晃の言葉をませたそれに遮られる
智晃
「ち、ちげぇよ!俺はあの城で暮らす事になった凛の仲間だ」
少年2
「本当かぁ?凛様は俺のお嫁さんになるんだぜっ」
親指を自分に向けて自慢そうに言う少年に微笑ましい気持ちになっていると、もう一人の少年が声を上げた
少年1
「違う違う。僕のお嫁さんだよ」
智晃
「…凛、人気者だな」
凛
「嬉しい限りです。…皆さん、ほら。お母様たちが呼んでますよ」
少女1
「ほんとだ!凛様さよなら」
全員がお辞儀をして手を振りながら去っていく。
彼女は本当に好かれている。
国の長といえば城にこもり命令しているだけ…のようだが、彼女は街へ出向き国民からの言葉を直接に聞こうとしている。
そしてなにより、逃げてきた自分達を受け入れてくれた恩が一番大きいのかもしれない。
凛
「智晃、お腹すきませんか?」
不意に問われたそれに智晃が答えるよりも先に彼の腹の虫が先に答えた。
それに智晃が頬を染めると凛は口元に手を当てて綺麗に笑むものだから、智晃は思わず見惚れてしまった