第15章 この世界の事
凛と智晃、そして智晃の両親の妖獣二体でスピネル族が暮らしていた国バーリフェルトをゆったりと回った。
智晃はどこを見たって知らない。それに、建物は蔦が絡まっている。
それなのに、どこか懐かしく感じてしまうのは此処が故郷だと思っているからだろうか?と彼は不思議に思う。
智晃
「じゃ…またな」
智晃が二体へ挨拶をすると彼の手に頭部を擦り付けるそれは、挨拶を返しているようだった。
離れるのが少し寂しいように感じた智晃だが、それを隠して二体へ手を振る。
凛
「近い場所ですから会いたくなったらすぐに来られますよ」
智晃
「…ああ、だな」
大きく頷いて笑う智晃に凛は優しく笑んだ。
そして、二人はバーリフェルトを後にしてフリデールへ帰った。
二人はフリデールの街を歩きながら会話をする。
フリデールの街並みは綺麗だ。
他の国では有り得ないのだろうが、様々な種族が混ざっているため色がバラバラ。
だが、すれ違う人も露店にいる人も皆が幸せそうに笑っていた。
まるでフリデールの長である凛に影響を受けたように
女性
「まぁ、凛様。今日はお買い物ですか?」
凛
「いいえ、お散歩です」
女性
「そうですか。お天気も良いですしお散歩日よりですね」
男性
「おお、これは凛様。今日はどうされたんです」
凛
「この方が新しく仲間になってくださったので、お散歩してるんです」
男性
「これはこれは。…おや、お兄さんスピネル族かい」
国民から愛されているのが良く分かる程に彼女は声を掛けられる。
それを凄いな、と感心しながら見ていた智晃は急に自分へ話題が向けば戸惑いつつも頷く
男性
「そうか。それはめでたい」
女性
「本当、めでたいわねぇ」
自分をそんな風に言われた事がない智晃はきょろきょろしながら苦笑する
凛
「皆さん、今日も元気ですね」
凛の助け船に安堵の息を溢す。
周りにいた人は皆、凛へ視線を向ける
女性
「それはもう!元気ですよ」
男性
「凛様にもお会いできたし、更に元気出ますな」
女性
「確かにそうねっ」