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彼岸花を抱いて

第15章 この世界の事




凛と智晃は大福に跨がり空を走っていた。
フリデールから走り一つの国が見えてきた


智晃
「この国は?」


「智晃が産まれた国、バーリフェルトです」

智晃
「俺の…」


段々と近付いてくる国が自分が産まれた国だと知れば、智晃は酷く荒れ果てていたら…そう考えた。
そんな国を見たら、やはり傷付くのだろうかと

だが、見えたのは茶色く荒れ果てた国ではなく緑や青が溢れる綺麗な国だった



「今は私が此処を管理しています」


彼女が管理をしてくれているから、綺麗な姿を保っているのかと智晃は感謝を覚えた


智晃
「へぇ…。もっと荒れ果ててんのかと思ってたわ」


「最初は…そうでした」

智晃
「そうか…。凛がここまで豊かにしてく……ん?あれは…妖獣か?」


言葉を発しながら国を見下ろしていると綺麗な土地を歩く妖獣を見付け智晃は不思議に思う



「はい。所有者を失った妖獣を此処で保護しています」

智晃
「こんなに沢山…」


「…彼らの主は貴方のお仲間です」

智晃
「仲間…そう、か…。あ、なら俺の親のは」


「居ますよ。…ご案内します」


緑に包まれ少し蔦が絡まり神秘的な空気を持つ城の前に降りると、そこにも妖獣が沢山いた。
凛は大福を戻し城の庭の方へ歩いていくので智晃は後を追う



「此方が貴方のお父様の妖獣です」


とても大きく立派な獅子の様な妖獣は凛に首の辺りを撫でられてどこか嬉しそうに見える。



「そして、お母様の妖獣です」


彼女の隣に降り立った大きな身体を持つ白鳥の様な妖獣が羽をしまい凛の頬に頭部を擦り付け、凄く懐いている様子だ。
智晃は一歩ずつ近付いた…二体は智晃を警戒するように見詰めていたが、暫くしてゆっくりと近付き

緊張して智晃が、ごくりと唾液を飲み込んだ時二体は智晃に頭を下げた後に頭部を擦り付けた


智晃
「はは…っ、擽ってぇ」


「ふふ…」


まるで、両親が出来なかった事を…智晃にしてあげているような、そんな光景だった。
笑う智晃は嬉しそうで凛は安心したように見詰めた



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