第14章 新しい生活 新しい仲間
凛
「表情がそんな感じでした。…それに、此処に住んでいる方達は皆さん種族が違います。なので、貴方が戦争に参加したのではと思っても仕方ありません」
両方なのかもしれない。
智晃の表情もだが、気持ちの揺らぎに敏感なのも確かだろう。
智晃
「悪い。…凛の仲間を疑ったりして」
凛
「いえ、構いません。私が貴方の立場でしたら、同じ様に疑ってしまうと思います」
優しく微笑みを浮かべる凛に智晃は眉を下げて笑むと、小さくお礼を述べた。
それから二人で他愛ない会話をしながら歩いていると、他の扉とは違いとても頑丈な造りの扉を前に凛が止まり
凛
「智晃、危ないので少し下がっていてください」
彼女の言葉に智晃は疑問符を頭の上に浮かべたが、従う事にして凛より後ろに下がった。
それを確認した凛は重い扉を開き─…
智晃
「……ひっ…!」
凛は凄い速さで飛んできた何かを片手で掴んだ。
驚いた智晃は小さく悲鳴をあげるが、凛の手中に収まっている物を見て更に驚いた
彼女より大きな大剣クレイモアが握られていたからだ。
それは刃の下部には可愛らしいクマではなく、少しリアルな熊が刻まれていて柄の根元に大きめのリボンが巻き付いており…可愛いのか怖いのか不思議だ
?
「…っ…凛様…」
凛
「お疲れ様です、志津梨」
凛の唇から溢れる名前に智晃は、この子が捜していた子かと思った
扉を開け大剣を持っている凛の姿に志津梨という彼女はピンクの長いツインテールを揺らして凛へ小走りで近付いた
志津梨
「り、凛様…すみません。…えっと、お帰りなさい」
丸く少し垂れている形の中で少し明るい赤の瞳がきょろきょろと揺れる。
凛が帰ってきて嬉しいのに刃物を飛ばしてしまった申し訳なさに揺れているようだ
凛
「どうぞ、志津梨」
志津梨
「ありがとうございます。…凛様、後ろの…」
凛
「あぁ…智晃、挨拶してください」
智晃
「ん。…河…じゃなくて、赤越智晃です」
志津梨
「……桃野 志津梨(トウノ シズリ)」