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彼岸花を抱いて

第14章 新しい生活 新しい仲間




部屋から出て凛がこの屋敷に住んでいる仲間を、あと二人紹介すると言ったので今はその人物を捜しながら廊下を歩いている



「おや」

智晃
「あ」


智晃はこの国に知り合いなどいないのに、見た事がある姿に思わず声が漏れた。
目の前の人物も智晃を見て一度、驚いたが既に長く立派な白い髭を撫でながら笑っている


智晃
「呂道さん」

呂道
「おお、覚えておったか。漸くこっちに来れたのじゃな、若造」


未だ若造呼びなのが気になったが、突っ込んだところで直してもらえないような気がした智晃は黙っておく事にした
呂道は凛へ視線をずらすと頭を下げ


呂道
「お帰りなさいませ、凛様」


「ただいま、呂道。…あの時はありがとうございました」


あの時…というのは智晃に刺青を入れた事。
智晃はまた繋がった。呂道は此処の魔器職人だったからこの国の長である凛を、様付けで呼ぼうとしたりするのを止められたのだと


呂道
「貴女様の為ならあれくらいどうって事無いですぞ。若造しっかりこの方を支えておくれ、頼むぞ」

智晃
「はい」

真剣な眼差しに思わず頷いた。
反射でだったが、自分が支えられるのなら支えたいと智晃は考えていた。



「呂道。志津梨を捜しているのですが、何処に居るか分かりますか?」

呂道
「ふむ…確か訓練室でしたかの」


「そうですか。…ありがとうございます、呂道」

呂道
「いえいえ。そいじゃ、また」


ほっほっと笑いを残して呂道は去って行った。



智晃は凛の仲間だから大丈夫、そう思っても会う人をもしかしたら両親を…そう考えてしまうのは仕方がないようで。
今から会う人の事もそう思ってしまいそうだと、智晃は一人考えていた



「智晃」


あれこれ考えながら歩いていると、不意に脚を止めた凛に声を掛けられ慌ててそちらに目を向ける



「大丈夫ですよ。…此処に住んでいる方達はあの戦争に参加していません」

智晃
「何でそれを…」


そんなにも分かりやすかったか、と智晃は疑問を持つ
それとも彼女が人の気持ちの揺らぎに敏感なのか…はたまたその両方なのか



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