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彼岸花を抱いて

第14章 新しい生活 新しい仲間




智晃
「河野智晃…、す」


「河野?あんたその苗字じゃないだろう」

智晃
「へ?」


「スピネル族の苗字は赤越(セキゴシ)です」

智晃
「じゃあ俺、赤越智晃…になんのか?」


「はい、そうです」


初めて知る事実に智晃は戸惑った。
そうか…種族毎に苗字が違うのか、と強引に理解させる事にした


壱樺
「私は黒榮 壱樺(コクヨウ イチカ)。まぁ、宜しくね」


艶のある声で紹介されると智晃はまた頭を下げた。

黒榮壱樺と名乗った女性の肩甲骨までの髪は真っ黒で形の細い目から覗く瞳は紅く、デコルテと胸の谷間が見えるくらい大きく開く金の襟から伸びる着物は赤地で大きな薄桃色の牡丹が咲いている、金帯を前で蝶々結びにしていて真ん中に真っ赤な牡丹、太腿部分が大きく開いていて裾が地面にギリギリつかない様に三枚歯の黒塗りの高下駄を纏っている。


智晃は何かの本で見た花魁の様だと思った。
だが、壱樺は既に智晃に興味が無いのか彼女の紅い瞳は凛を見ていた


壱樺
「随分と遅かったじゃないかい。皆、待ちくたびれてるよ。特にあの変態がね」


艶のある色っぽい声で告げられる言葉に凛は、眉を下げて笑んでから



「智晃を紹介する時に挨拶をします」

壱樺
「私もついて行こうか。あの変態をすぐ仕留めれるように」


「ふふ、大丈夫ですよ」

智晃
(おっかねぇ人だな…。そういや、この人も別の種族だよな…もしかして、この人も俺の両親を殺した奴等と同じ様に戦争に参加してたりすんのかな)


そう考えると途端に敵に見えてきた。
が、凛の仲間だ…有り得ないと軽く頭を振った



「智晃、貴方の部屋へ案内します。来てください」

智晃
「あ、おう…っ」


慌てて歩き出す三人の後ろを追い掛ける。
近くで見れば見る程に大きくて立派な城に智晃は緊張する

凛が近付くと大きな扉が、ギィっと音をたてて開いた


智晃
「おぉ……」


目の前の光景に智晃は思わず息を溢した。
潜入したドジャールマと比べ物にならないくらい眩しく、お伽噺に出てきそうな空間。
長い階段は靴を落としていく物語の一コマになりそうなくらいだ



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