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彼岸花を抱いて

第12章 断らない探偵事務所




智晃
「やってみなきゃ分かんねーだろ。…教えてくれるっつったよな?実演で頼むわ」


智晃の挑むような笑みに少女は嫌そうな顔をするも、すぐに楽しげに笑った


少女
「私はスパルタだから…気を付けて」


そう不適に笑うと少女は地面を蹴り簡単に智晃との距離を縮め、身軽に身体を回して蹴りを仕掛けてきたが智晃はその脚を左腕で受け止めると右掌を少女へ向け


智晃
「ヴォルテックスシロッコ…!」

少女
「………っ」


渦巻く熱風を少女へ当てると目を瞑り腕で顔を覆うようにするのを見て、智晃は蹴りを仕掛けてきた脚を素早く掴み軽い身体を思い切り投げ飛ばした


少女
「くっ…」

智晃
「くそ、見た目が厄介だな…!」


只でさえ魔法を使うのに未だ抵抗があるのに、最低な存在だと分かっていても見た目が少女なだけに心に響くようだ。


少女
「アレナエストレア」

智晃
「どわ…っ…」


投げ飛ばされた少女が掌を向けると砂の流星が智晃に襲い掛かり、彼は腕で防御するも砂埃がたち目を開けてられない


智晃
「ぐが…っ、ぁ…!」


気付かぬうちに近付いていた少女は無防備な智晃の腹部へと、その小さな身体からは想像できない程の力で拳を埋め込み智晃は身体を丸め。
そこに追い討ちをかけるように少女は智晃の脇腹にも拳を撃ち込み、智晃は身体を倒した



「智晃…」

智晃
「あ゛ぁ…っ、く…は…!」

少女
「あはは…!」


倒れ噎せ込んでいる智晃を見下ろしながら少女は笑い声を上げて、智晃の腹部を何度も何度も踏みつける

凛は手が出そうになるのを堪え、じっとその様子を悲痛な表情を浮かべて見守っている
智晃なら大丈夫だ、そう思いながら


少女
「ねぇ…助けてって言わなくて良いの?あんた、本当に死んじゃうよ」

智晃
「………」


揶揄ったように掛けられる声にも智晃は踏まれているにも関わらず何一つ声を発っさなくなってしまった


少女
「あーぁ、私は綺麗なまま喰べたかったなぁ…ま、いっか」


もう、自分の食事の事を考えている少女。
掌を動かなくなってしまった智晃へと向けるのと同時に凛も掌を向ける



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