第12章 断らない探偵事務所
「アイシクル……アロー…!!」
「……っ…!」
凛は目を大きく開き衝撃を受けた。
意識を失っていると思っていた智晃が少女から見えないように掌を向け、氷の矢を放っていたのだ
その氷の矢は……掌を向けていた少女の胴を貫いていた
少女
「かは…っ…」
少女は口から血を吐き出し倒れた─…
凛
「智晃…!」
智晃
「……っ、は…また…ボロボロ、だな……殺しちまった…」
駆け寄った凛に力なく笑ってみたものの、隣に転がった紛いモノである少女の亡骸を眺めて呟く。
初めて誰かを殺めてしまった後悔と罪悪感
決して殺めてしまったものが人でなかったとしても、確かに生きていた存在だ
智晃が亡骸を見詰めていると、それがさらさらと音もなく砂のように風に吹かれていく。
徐々に無くなっていく少女の身体を悲しげに智晃は眺めた
凛
「…お墓を創りましょう…智晃」
智晃
「凛…」
凛
「ね?」
綺麗に笑む凛に智晃は小さく頷いた
凛
「それと、良く頑張りました…お疲れ様です」
智晃
「けど、俺…」
凛
「殺めてしまったかもしれません。…ですが、彼女が生きていたらもっと犠牲者が増えます。話が通じる相手ではないのです…辛いですが、仕方がない事なんです」
苦し気に告げる凛の言葉を智晃は静かに聞いた。
覚悟…それがあるから彼女はしっかりと出来るんだ。
智晃も覚悟を決めたつもりだった、だがまだ少ないのかもしれない
もっと…覚悟と自覚を持たなくてはと、智晃は身体を支配する痛みを抱えながら誓った