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彼岸花を抱いて

第12章 断らない探偵事務所




信じられない、そう言葉にできない感情を顔に貼り付けながら智晃は少女を見る。
だが、凛は秘密はあっても嘘を吐く様な人ではない…と勿論、智晃は凛を信じた




「ずっと貴女を捜していました。…ここ最近、女性が姿を消すという相談を受けました」

智晃
「お、おい…そんなの俺は聞いてないぞ」


「すみません。…目撃情報で少女と居た女性がとあったので、上位の紛いモノだと判断し貴方には危険だと思い私が動いていました」

智晃
「んだよ、それ…仲間外れかよ…」


智晃は分かっている。
自分の力がまだ戻っておらず危険だからと心配して話していなかったのを
だが、理解していても納得できるものではない
謝る凛に言葉を発しようとしたが、ずっと黙って凛を見詰めていた少女が笑いだした


少女
「なーんだ、バレちゃってたのかぁ…残念」


「狡いですね。人の善意を利用するなんて」

少女
「えー?賢いって言ってよ。…可愛いお姉さん」


可愛らしい笑みを浮かべながら甘えたように話す少女は、姿は少女でも少女ではない。
先程までモヤモヤとしたものを胸の内に抱えていた智晃もその姿に驚いた

智晃が凛の傍に寄ると彼女が耳打ちをした



「危なくなったら、必ず私が入ります。…出来る所までやる覚悟…貴方にありますか?」

智晃
「え…」


凛は自分がやるべきか智晃にやらせるべきか少女と会話をしながら悩んでいた。
今の彼一人であったら確実に危ない。
が、傍には凛が居て…相手は上位の紛いモノ
智晃の力が急激に戻り耐性がつくのではないかと考えた


智晃
「……やる。…俺…やるよ、凛」


「…分かりました。貴方なら大丈夫です。自分を信じてください」


智晃からの言葉と強い目に凛は嬉しそうに笑みを浮かべ、彼の手をぎゅっと一度だけ握った。
智晃が少女の前に歩み出ると不思議そうに首を傾げた


少女
「あれ、そっちの彼で大丈夫?…呆気なくやられちゃうかもよ?」


揶揄うような笑い声に智晃はぐっと手を握り締め



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