第12章 断らない探偵事務所
智晃
「本当か!?」
少女
「うん。此処じゃ危ないし…場所移そう?」
可愛らしく首を傾げる少女の言葉に頷けば、智晃は普段使っている廃工場へ案内しようと指を揺らす
凛
「彼をどうするつもりですか?」
少女
「……っ」
用事があると別れた筈の凛がいつの間にか少女と智晃の後ろに立っていた。
その声に少女は息を呑んだが、それに気付かず智晃は振り返り凛へ笑い掛ける
智晃
「おう、凛。用はもう良いのか?今からこの子に…「駄目です」
智晃
「はぁ?」
智晃は自らの言葉を食って述べる凛に、訳が分からないと首を傾げる
凛
「用事があると言いましたよね?…彼女に用があるんです」
少女
「………」
いつもの笑みなのにそうじゃないような…突き刺すような視線を放つ凛に智晃は驚き、少女は険しい表情をしていた
凛
「彼女は紛いモノです、智晃。騙されてはいけません」
智晃
「は…?何言ってんだよ凛。こんな小さい子が、紛いモノなわけねーだろ」
凛
「紛いモノを知らないわけではないですよね」
凛のそれに智晃はうっ…と言葉を詰まらせる。
知らない者がいるわけがないのだ。
昼間に出ない訳ではないが、夜間の方が活発になる恐ろしい怪物が現れる…その為に皆は夜間の外出を控えている
紛いモノは誰が見ても一目で怪物だと分かる程に人の形すらしていない。
だが、中には紛いモノ界で上位になるくらい魔法力や戦闘力が高い者になると人形を保つ事が出来てしまうのだ。
彼等は人間の骨まで食べ尽くしてしまうような存在で
狙われる確率が高いのは圧倒的に子供や女性。
男性がないわけではなく、ただ確率的に少ないというだけで安全なわけではない。
なので、少女が紛いモノだとすれば上位に位置していて幼い姿を利用して人間に近付いた…という事になる。