第12章 断らない探偵事務所
噴水広場前
人気の少なくなった夜の噴水広場前に幼い子供の姿がぽつり
少女
「うっ……ひく…っ」
女性
「どうしたの?迷子になっちゃった?」
こんな時間に子供が一人でいる事を不思議に感じたものの、もしかしたら両親が居たのかもしれないと女性はしゃがんで泣いている少女に優しく声を掛けた
少女
「うん。お母さん…と、はぐれちゃって…」
女性
「そっか、泣かないで?私が一緒に探してあげるから。ね?」
少女
「…ぐす…っ、ありがとう…」
少女は彼女の提案に涙で濡れた顔を上げて、まだ不安そうにしているものの小さな笑みを向けた。
手を繋いではぐれた場所へ案内をしてもらっていると段々と更に暗い道へ…最終的には路地裏に進んでいた。
女性は本当に合っているのかと不思議に思い手を繋いでいる少女へ視線を向け
女性
「本当に、此処でお母さんとはぐれたの…?」
少女
「うん、そうだよ」
女性
「そう…」
少し湿っぽさのある路地裏を歩いて数分。
周りと遮断されていると錯覚するような所
大丈夫かな?と女性が思っていると少女がくいくいっと繋いでいる手を引いたのでそちらへ顔を向ける
少女
「お姉さん」
女性
「ん?」
少女
「ごめんね。……そして、ありがとう…騙されてくれて」
女性
「え?……ゃ…いやああぁぁ──…!!」
智晃
「い、てて……最近、容赦ない気がすんだよな…」
お決まりとなった廃工場での訓練。
今日は凛と行っていて共に事務所に帰ると思っていたが、彼女は何か用事があると残してそこで別れた
ギシギシと骨が軋むような身体を引き摺り眩しい太陽に目を細め一人呟きながら歩く
智晃
「これ以上、魔法が上達するとも思えねーんだよな」
少女
「魔法…教えてあげよっか」
智晃
「ん?」
不意に声を掛けられて顔をそちらに向けると、幼い少女が立っていて智晃に笑顔を向けていた
智晃
「君…魔法、使えんの?」
少女
「勿論。お兄さんに教えてあげても良いよ?」
魔法が嫌い、とかでなければこの世界で生きていたら年齢関係なく魔法が簡単に扱える。
つまり、この少女が提案するという事は智晃より魔法に触れているのが長いのだろう
そのため智晃はにっと笑みを見せ