第12章 断らない探偵事務所
凛
「とても優しくて暖かい両親でした。国民からも愛される強い長でもある二人が私の誇りです。…常に笑顔でいる方が良い事があるのよ、そう母は言っていました」
その言葉で智晃は彼女の笑顔を理解する。
基本的に笑顔でいる事が多いのには、しっかりとした理由があるんだと
智晃
「良いご両親なんだな。……よし、出来た」
話している最中にも手を動かしていたお陰で早く出来上がった
凛
「美味しそうですね。…凉晴を呼んできます」
ふわっと柔らかく笑んだ凛はそう告げてから、小走りで二階へと上がっていった。
二人が下りてくる前にテーブルに並べておこうと一人、往復をする
凛
「お待たせしました。…お腹すきましたね」
凉晴
「嗚呼」
下りてきた二人は隣同士で着席し、その前に智晃が腰をおろした
テーブルに並ぶきらきらと輝くオムライスと一人ずつに盛り付けられたミニサラダにコンソメスープの鼻腔を擽る香りに空腹を報せていた腹の虫が踊るようだった
三人
「いただきます」
凛
「ん…美味しいです」
智晃
「そか?良かった」
凉晴
「……確かに美味い」
凛
「この前、凉晴が作ってくれたオムライスも美味しかったですよ」
凉晴
「けど俺は卵をこんなに綺麗には出来なかった」
智晃のトロトロと綺麗にケチャップライスを包む卵を見ながら凉晴は以前に作った自分のオムライスと比べて、分かりやすくではないが落ち込んだ
それを見ると凛は優しく笑いながら凉晴へ顔を向け
凛
「智晃が作ったものも凉晴が作ったものも美味しいです。誰かが自分のために作ってくれたら美味しいんです」
それは先程、智晃と凛が話していた内容と似ていてそれを忘れたわけでは勿論ないが凛は自然と告げていた
だが、凛のその言葉に凉晴は僅かに口角を上げ
凉晴
「そう、か?」
凛
「はい」
凉晴
「そうか」
安堵したのが分かった。
何だか何気ない会話をしながら食事をしている…少し前までなら有り得ない光景だった
それを普通に出来ているのが智晃の中で喜びとなった