第11章 不思議少女の抱えているもの
【凛 side】
頭が割れるように痛かった。
私じゃない別の何かに主導権を奪われたような…。
靄がかかって、何も分からなくなって…ただ一つ分かったのは大好きな声と温もり。
でも…何で?
何が起こったの…?
はっきりとした意識が戻り、身体がやっと自分に馴染んだ時…視線を揺らすと赤に染まる二人が居た
凛
「母様……父様……?」
私が……私が、二人を……
母
「凛…泣か、ない…で…貴女のせいじゃ、ない…わ……お願い、笑って……愛しい子」
父
「そう、だ…。ごめん…な、凛……父さん達…これから、は…お前を守って…やれなさそうだ」
凛
「や…嫌…っ…ごめ、っ…ごめんなさい…父様と母様が私のせいで…ごめん、なさい…っ…!」
途切れ途切れになりながらも弱々しく笑みを浮かべて話す二人に罪悪感と涙が溢れて仕方がない。
意識が無くなる前に感じたあの感触…私が二人を刺してしまったと理解させた
父
「凛は…強い、もっと……強くなるんだ、…凛なら…大丈夫だ」
母
「そう、よ…謝らないで、凛…ほら…笑っ、て?」
凛
「父様…っ、母様……私、強くなる…二人みたいに…産んでくれて、ありがとう…大好き、だよ…」
自分のせいで…そう思っていたけど最期なのに謝ってばかりなんて嫌で、私は泣きながらも一生懸命…笑ってみた
母
「ありがとう……大好き、よ…凛」
父
「俺達の子に…なってくれて、ありがとう…」
そう笑みを浮かべて告げたきり、唇から言葉が溢れる事は……なかった。
凛
「父様…母様…っ、う…ごめん、なさい…ごめんなさい…っ、ふ…ぁ」
ルティナス
「凛ちゃん…」
ディガット
「………」
私はそのあと声が枯れるまで泣き続けた。