第11章 不思議少女の抱えているもの
【NO side】
凛
「それから、私は敬語で話すようになりました。…それ以外を話してしまったら、また醜いものになってしまうのではないか…そう思ってしまって」
智晃
「凛…」
彼女から聞く話に智晃は俯いてしまったが、ゆっくりと顔を上げ凛をしっかりと見詰め
智晃
「凛がそうなっちまうと思って敬語を使ってんなら、それでも良い。けど、大丈夫だ。敬語以外を使ったって凛は凛だ。おかしくなったりしねーよ!」
凛
「ち、あき……」
そんな事を言われると思っていなかった凛は驚いたように目が徐々に開かれていく。
この話をすると自分が怪物を生み出した事と両親を殺めてしまった事を思い出して、苦しさに押し潰されそうになるが智晃の言葉でそれが軽減されたような気がした
凛
「ありがとうござい、ます…っ…ありがとうございます…智晃」
初めて見る凛の弱さと涙は智晃に彼女が消えてしまうのではないか…そう錯覚させた。
そして、また…強くなろうと改めて思った
凉晴
「凛……今日は疲れただろ。早く休んだ方が良い」
凛の隣に座っていた凉晴がそっと声を掛けながら彼女の頬を伝う涙を優しく拭った
凉晴
(凛が泣いてる所なんて小さい頃以来、久し振りに見たな…)
智晃
「そうだな。俺もそろそろ帰るし…ゆっくり休めよ?」
二人の言葉に凛は笑みを浮かべて頷き、自室へと姿を消した。
智晃
「凉晴は」
凉晴
「?」
智晃
「その事があった時…凛とはもう知り合ってたのか?」
智晃からの問いに凉晴は少し悩んでから頷いた
凉晴
「俺はセレナイト族ではない。…だが、凛の家族には恩がある」
智晃
「恩?」
別種族なのも気になったが、智晃はその恩というのが何かの方が気になり問うて首を傾げた
凉晴
「………今のお前に話す気はない。強くなったら考える」
智晃
(仲間だと認められなきゃ、って事か…よし!)
智晃
「約束だからな!」
彼の言葉に凉晴は小さな頷きだけを返した。
こうして三人の長い一日と初めての依頼は終わった…