第11章 不思議少女の抱えているもの
凛
「何で…何で父様と母様が…」
謎男
「何で?それはねぇ…………餌だよ」
凛
「餌…?二人を何の餌にする気なの…!そんなの許さ…くっ…」
謎男
「大人しくしてろよ」
母
「凛…!」
彼の発言に腹が立って声を荒らげると男は躊躇なく私の腹部へ拳を埋め込ませた。
痛みに身体を揺らすも、すぐにそれは腹立たしさにかわり顔を上げ男を睨み付けた
凛
「…っ…それくらい、でっ…私は大人しくしない…!」
父
「やめろ、娘には手を出さないでくれ」
謎男
「ふん…。囚われの身のくせに指図するなよ。…ここはなぁ…お前の国じゃない」
母
「約束だったじゃない。私達が大人しく捕まれば、娘には手を出さないって」
目の前で交わされる会話を聞いていると私のせいだと言うのが分かった。
私がまだ弱くて…簡単に捕まってしまったから、二人は何か条件をのんでしまったんだ…私のせいで
謎男
「俺がそんな約束、守ると思うのか?」
凛
「父様…母様…っ…二人を離してよ…っ!」
謎男
「五月蝿いなぁ。…あのな…この二人は餌だって言っただろ?それに、丁度良いしこの際だから俺の仲間を沢山、傷付けてくれたお礼も兼ねて……此処で死んでもらうんだよ」
凛
「ふざけないでよっ。訳の分からない事ばかり言って……それに、悪い事をしてるのは貴方の仲間でしょ!」
二人が死ななきゃいけない理由なんてないし、二人は訳もなく人を傷付ける事なんてしない。
父
「…君の苛立ちは受け入れよう。だが、何故…娘の前でなきゃならないんだ?両親が亡くなる所を見せる必要ないだろう」
父様の言葉に私は頭が混乱した。
何で?何で…父様は悪い事をしてないのに死を受け入れようとしてるの?
やだ…そんなのやだよ…。
謎男
「知ってるか?この娘は破壊神ディガットに見初められた存在だぞ。…ま、それくらい知ってるよなぁ?……不幸を見せれば何か起こるかもしれねぇだろ」
ディガットって…幼い頃に私と由來を助けてくれたあの人…?
どういう事?私がその人に気に入られてるから…目の前で大切な人の命を奪って私がどうなるか見たいって…そう言うの…?