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彼岸花を抱いて

第11章 不思議少女の抱えているもの





「ま…待って…!」


ころころと転がり落ちていく指輪を追い掛けても捕まえる事が出来ず。
気付けばその指輪は誰かの脚元に転がりその人は指輪を拾い上げて凛へと笑みを向けた



「これ…貴女の?」


「はい…っ、落と…落として、しまって…」


息を切らしながらもしっかりと頷いて見せた。
すると、指輪を手にした子守唄のように優しい声を持つ女性は凛に近付いて視線を合せ



「はい、どうぞ」


「ありがとうございます…っ」


大分落ち着いた息の凛に落し物を返すと嬉しそうに自分の手に戻ってきた指輪をぎゅっと胸元で握り締めた



「ね、可愛いお嬢さん」


「?」


「これ見て」


そう言うと彼女は綺麗な人差し指を小石へ向けると、詠唱もしていないのに小石が削れうさぎの形に変わった



「わぁ…凄い…!」


「貴女もやってみて?」


「でも、私はお姉さんがやった魔法の呪文…知らない」


分かりやすく落ち込む凛を見ると微笑んだまま彼女は人差し指の甲で凛の頬を撫で自分へ視線を向けさせた



「大丈夫よ。…貴女なら詠唱がなくても出来るわ。創りたい物を想像して?」


「……やってみる」



(わんちゃん……わんちゃんに、なって)


人差し指を小石へ向けて創りたい物を思い浮かべながら強く念じると、小石が削れ犬の形へ変わった。
凛が嬉しそうに笑みを彼女へ向けると笑みを返してくれた



「ね。出来たでしょ?」


「教えてくれてありがとう。…私ね凛って言うの」

ルティナス
「まぁ、貴女にぴったりの素敵な名前ね。私はルティナスって言うの…覚えておいて、愛しい凛ちゃん」


「?」



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