第10章 新米探偵に依頼あり
凉晴
「凛…っ」
凛
「……は、ぁ…っ……」
目蓋が僅かに震えたかと思えば小さく息を吐いた後、目蓋を持ち上げ咳き込んだ
凉晴
「凛…大丈夫かっ?」
智晃
「……凛」
凛
「はぁ…っ…は、大丈夫…です…ご心配、お掛けしました」
凉晴
「……良かった…」
力なく笑みを浮かべる凛を見ると凉晴は安堵の息を大きく吐き出して彼女を優しく抱き締めた。
凛が小さく謝ると凉晴が首を振り、彼女を横抱きにしたまま立ち上がり智晃へ視線を向けた
智晃
「他の人…どうするんだ?さっきのやり方だと時間掛かりすぎる」
凛
「私が…やります」
智晃
「は?」
凉晴
「凛は駄目だ…俺がやる」
凛
「ですが…」
凉晴
「良いから、休んでろ」
そう言うと凉晴は凛を智晃へ預けると、彼女は自分で立てると言ったが智晃は降ろす気がないようだ
凉晴
「あの中に居れば攻撃が当たらないのが分かった…なら。………ヘイル」
凉晴が詠唱すると全体を覆う様に雹が降り始め硝子にぶつかりだし、ヒビの入った硝子に更に雹が当り音をたてて硝子が割れた
凉晴
「モディア」
倒れてくる彼女達を受け止めるようにクッションが現れた。
それから、警官を呼び液漬けにされていた女性や売買される女性の保護をお願いし三人は事務所へと戻った。
事務所に戻り入浴を済ませた凛がソファに腰掛けると、智晃は遠慮がちに口を開いた
智晃
「なぁ、凛…俺さっき凛がずっと敬語の理由、凉晴から聞いてたんだけど…」
凉晴
「おい」
智晃
「聞くなって言いたいんだろ。…でも、俺は聞きてぇんだ。凛から直接」
凛は自らの脚元を見詰めた後に目の前に座る智晃へと視線を向けて小さく笑みを浮かべた