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彼岸花を抱いて

第10章 新米探偵に依頼あり





「さぁ…怖くないよ。苦しいのも一瞬だ」



凛は液に自ら入る為に硝子の真上に続く階段に上り、水面に映る自らの顔を眺めていた。

そして、凛がその液へ入ろうとした瞬間…



─ピーッ ピーッ





「……っ…!」


許されていない者が入ってきたのを報せる警報が鳴り響き、慌てた零は凛の背中を押して液へ落とした。



(……これは…まずいです)



液へと落とされた瞬間に凛は悟った。
この液は簡単に脱け出せるものではない、と。
そして、段々と意識が朦朧としてきた頃には…苦しさは消えていた




─バン…ッ





「何だ君た…「ヴォイスブロック」


「……っ…!」


凉晴は零が何か言葉を発する前に、口を塞ぐのではなく声を塞いでしまった。



智晃
「…キャトル…!」


「……っ」


智晃は成功させてみせた。
凛を助ける、零を許さないその揺るぎない意志のお陰で彼の口から溢れた魔法は成功し、零を捕らえる事が出来た。
だが、考えるよりも先に行動に出ていたようで智晃本人も驚いていた



智晃
「驚いてる場合じゃなかった!…凛は……居た!凉晴、居たぞっ」

凉晴
「凛…っ…これは、特殊な硝子みたいだな」

智晃
「下手に攻撃魔法を加えたら、凛に当たっちまわねーか?」

凉晴
「いや…多分それはない」

智晃
「そうか、なら…!」

凉晴
「待…失敗し…「アイシクルアロー!」



失敗したらどうするんだ、そう発しようとしていた凉晴の言葉は智晃の何の迷いもない呪文を唱える声に遮られた。
そして、失敗すると思われていた智晃の呪文で出現した…氷の矢は凛が入っている硝子に刺さり全体にヒビを刻み、そこに智晃が思い切り拳を突き立てると大きな破片を散らして凛を解放した。

凉晴は魔法を成功させ凛を救出した事に驚いていたが、それよりも解放された凛を慌てて抱き止めた



智晃
「…凛!おい、凛!しっかりしろ…!」

凉晴
「凛…っ」

智晃
「早く目ぇ覚ませよ…!」


凉晴の腕に抱かれたまま動かない凛を見詰め



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