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彼岸花を抱いて

第10章 新米探偵に依頼あり





「此処に居る女性と売買される女性を解放してください。そうしたら、貴方のコレクションになっても構いません」


「それは出来ないな。楽しみにしている金持ちが集まってるんだ」


「逃げるために暴れても構わないのですよ?」


凛がハイネックになっている襟元を下げて隠れていた首に嵌まっている…黒い石のリングを見せると零は初めて表情を崩した



「…分かった。彼女達を解放しよう」


「約束ですよ?」


「嗚呼。…だが、見た目に反して怖いものをお持ちで。黒なんて初めて見たよ」


「あら、貴方も優しい顔をして本当はとても酷い方じゃないですか。人は見かけによらないですね」



首を傾げて笑みを浮かべる凛に零は苦笑しつつも頷いた









智晃
「凛の力を引き出すため…?」

凉晴
「嗚呼。…それを…」


言葉の続きを吐き出す前に何かに反応した凉晴はスラックスのポケットに手を入れると、小さなブローチが姿を現した


凉晴
「凛が場所を特定した」

智晃
「え、何で分かんだよ」

凉晴
「このブローチは凛と繋がっている。彼女が場所を見付け念じ伝えてくれたお陰でブローチが震えたんだ」

智晃
「すげ、そんなのあんのか…けど、そのブローチが道案内でもしてくれんのかよ」

凉晴
「これを握っていれば凛が通った道を見る事が出来る。…急ぐぞ」


話の内容が気になったままの智晃だったが、本来の目的を思い出せば頷いて歩き出す凉晴の背中を追った。



智晃
「にしても長い廊下だな…扉どんだけあんだよ」


きょろきょろしながら素直な感想を述べるが凉晴がそれに答える事はなかった。
胸がざわついて仕方がない凉晴は徐々に歩む脚が速くなっていく



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