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彼岸花を抱いて

第10章 新米探偵に依頼あり




目標男性
「初めまして。本日はお越しくださり、有り難う御座います。…楽しめていますか?」


「はい。お食事も美味しくて、ここの雰囲気を味わっているだけでも楽しいです」


ふわりと笑みを浮かべる凛を見ると男性は一瞬、目を丸くしたが次には柔らかく笑み



「申し遅れました。私は零(レイ)と言います…良ければ場所を変えて二人で話しませんか?」


「勿論、構いませんよ。…あ、私は凛と言います」



形の良い唇から溢れる心地の良い声の誘いに凛はチャンスだと思い、快く承諾するように頷いて見せ二人は移動をした







智晃
「おい、良いのかよ。二人でどっか行っちまうぞ?」

凉晴
「いや…凛に任せよう」

智晃
「そうか?お前が言うなら良いけどよ」

凉晴
「嗚呼。…こういう場所は疲れる」


そう吐き出すと凉晴は大きな硝子張りの扉を開けてテラスへと出て行くのを智晃も追うように外へ出た。
オレンジに染まっていた空はいつの間にか紺へと色を変えていて、頬を撫でる風は熱した身体を冷やしてくれるようだった


二人で並んでテラスの柵へ背中を預けて立つと智晃はずっと聞きたかった事を思い切って凉晴へ投げ掛けてみる事にした



【智晃 side】



緊張した。
聞いて良いものか、聞いて答えてもらえるのか…
けど、モヤモヤしていても仕方ねぇから



智晃
「なぁ」

凉晴
「何だ」



腕を組んだまま面倒臭そうに答える凉晴を見ながら俺は言葉を投げた



智晃
「凛は何でずっと敬語なんだ?俺だけじゃなく…ずっと一緒に居る凉晴にも、そうだろ」

凉晴
「………」



それを問い掛けると凉晴は悲しそうな苦しそうな表情をした後に、ちらっと俺を見てから身体を柵へと向け腕を預ける。
やっぱ、俺なんかには教えてくれるわけねーか。
凉晴は弱い俺が気に入らねぇみたいだし



凉晴
「……凛には絶対に言うなよ」

智晃
「お、おう…っ」



予想も期待もしてなかった凉晴からの言葉に俺は慌てて返事をして、身体を凉晴と同じ様にし次の言葉を待った



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