第10章 新米探偵に依頼あり
凛
「確かに杜撰な作戦でした。…すみません」
智晃に向かって頭を下げる凛に彼は肩を優しく叩いて、必要ないと視線で示した
凉晴
「凛、新しい方法を考えた」
───────…
─────…
智晃
「本当に大丈夫なのか?」
凉晴
「大丈夫だ。無駄な心配をするな」
あの後、作戦について話し合った。
元々、調べた結果により今日パーティーが開催されると分かっていたため買ったばかりの洋服に袖を通してドジャールマに入ろうとしている人々の列へと並ぶ。
女性
「まぁ…綺麗な人達ね」
男性
「嗚呼、そうだな」
どうやら三人はやや目立つようで周りからの視線を集めている。
が、勿論…凛は人間時の髪をアップにしている状態なため、決して彼女が本来の姿であるから目立っている訳ではなさそうだ。
凛
「凉晴」
凉晴
「嗚呼」
短く交わした後、凉晴の前に並んでいる中年男性が手にしている招待状へ白紙の紙を翳し凉晴が口の中で小さく呪文を唱えると…その白紙に男性が持っていたものと同じ招待状の文字が浮かび上がった。
智晃
「……すっげ」
凛
「完璧ですね」
感心している智晃だったが、すぐに考えるような表情にかわり
智晃
「良いのかよ、そんな事して」
凉晴
「…人を助けるんだろ。これくらいして丁度良い」
智晃
「そう、か…そうだな」
人を助ける、その言葉に智晃は少し考えてから頷いて見せた
智晃
「うわ……眩しいな…」
無事にドジャールマのパーティー会場に入る事が出来、視界に広がるきらびやかな内装や人々に照明…初めて見るその光景に智晃は目を細めながら小さく呟いた
凛
「まだ主催者はいらっしゃってないようですね」
智晃
「顔分かんのか?」
凛
「いえ、分かりません。ですが、主催者は挨拶をして回ります。その時に顔が分かります」
凛の言葉に智晃な成る程な、と呟いて目の前に並ぶアートのように飾られた食事に息が詰まりそうになった