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彼岸花を抱いて

第10章 新米探偵に依頼あり




凉晴
「絶対に駄目だ」


「どうしてですか」



翌日、智晃は言われた通りの時間に昨日買ったスーツを手に事務所に向かうと扉を通り越して凛と凉晴の声が聞こえてきた。
普段仲の良い二人が珍しく語気を強めて会話をしていたため智晃は扉を開けるのを躊躇い、その場に留まる



凉晴
「どうしても何も…自ら危険を増やしてどうするんだ」


「ですが、これが一番手っ取り早いじゃないですか」

凉晴
「だとしてもだ。…只でさえ危険に晒されている様なものなのに」


「私が弱くないのは凉晴が良く分かっているじゃないですか」

凉晴
「強い弱いは関係ない。良いか?危険なんてものは少ない方が良いんだ。今回の目標以外の危険を自分で作ってはならない。…違う方法にしないと言うのなら、俺は協力しない」


「………。分かりました、この方法は辞めます」



二人の会話が落ち着いたのが分かると智晃は部屋へと脚を踏み入れ、遠慮がちに凛へ視線を向ける



智晃
「外まで声…聞こえてたけど、何かあったのか?」


「あぁ…それ「別に、何でもない」



答えようとした凛の言葉をソファに腰掛けている凉晴が遮った。
すると、凛は智晃へと苦笑を向け彼の傍へ寄る




「……私が悪いんです」



内緒話をするように小声で隣に立った凛の言葉に智晃は視線を向け、首を傾げた




「本来の姿で居れば簡単に声を掛けられると思い、それを凉晴に言ったら怒らせてしまいました」

智晃
「…それは、俺も凉晴に賛成だな」


「え?」

智晃
「俺は教科書でしか読んだ事ねーけど、セレナイト族って貴重なんだろ?潜入の前に別のアホに狙われるかも知んねぇ。…俺は見た事ねぇけど、間近でその危険を見てる凉晴なら怒って当然だ」



智晃からの言葉に眉を下げて申し訳なさそうに、でも凛は自分が弱いと思われているのではなく、ただ心配をされているだけなのだと理解すれば嬉しそうに笑みを浮かべた



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