第3章 一章
折敷明紀は自販機の前で時間を潰していた。
評議会のメンバーとはあまり接点はないものの、神菜とはそれなりに長い付き合いだ。
勿論、あの二人が付き合ってる事も知ってる。ついでにまともなデートの1つもしてない事も。
何でそんな事までというのは、神菜とは1つ屋根の下で暮らしている。そして彼女は休日も家の事やら学校の備品修理やらバイトやらに費やしまともに休みを取っていない事も近くで見ている為重々承知の事という訳だ。
ここまで話すと人並みに気を利かせて二人きりにしてあげたとかそう思うかもしれないが全く持ってそんな心配りなんてしてない。鐚一文も。
朝早くに目が覚め、鉄錆味のお粥を食べさせられ気分が悪いから、早めに登校して仕事を手伝っていたが、漸く食欲が多少戻って来たので飲み物買いに来ただけだ。
まぁ恋人同士の間に自分が居座って少し居心地が悪く感じはした。何を話したらいいのかというぎこちない空気が重かったのも事実。
さて、神菜に頼まれたジュースを渡しにいくか。いやしかし、昨日の飯テロの報復を考え、いっそトマトジュースとミックスに・・・・。
「お、アキじゃん。おまえにしちゃ早いなあ」
声をかけられてそちらを振り向けば神菜の幼馴染がいた。
奥を見てみると似非ロリとサムライ崩れと組長も。
「そりゃこっちの台詞だよ。」「いや、学校行く途中で神菜の見舞いに行こうと思ったんだけど、留守みたいで」
「仕方なくみんなで学校に来たって訳」
先程会議室で見た光景を思い出す。山のように書類の積まれた第一席の机とは対称的にガランとした机。一席に仕事押し付けて見舞いとかいい性格だなぁ。とシミジミ思う。
さて、ここで明紀は考える。神菜が会議室にいると言えばみんな嬉々として行くだろうが、果たして今行かせて良いものか。と
理性や善意からではない。どうしたら面白可笑しくこいつら引っ掻き回して遊べるか。明紀にとってそれが第一である。
しばらく考えた後、顔を上げ、口を開く。