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幸福のレシピを貴方に。(食戟のソーマ)

第2章 序章


畑仕事を終えて極星寮に戻ると珍しく朝ごはんが出来上がっていた。極星寮の寮母は普段ならば朝と夕ある程度の食事を作っていてくれるが今日は日曜日。休日は各自で作れと言って作らないことが多い。
そして、見覚えのない人間。

一番最初に目に飛び込む黒曜石の様に艶やかで長い髪、目鼻立ちの整った顔。テーブルに顔を乗せ、床についていない足を一定のリズムで揺らしていた。年端のいかない3歳くらいの女の子。
一瞬、寮母の孫かと思い浮かぶもそれにしては顔が整いすぎていた。
「あれ?誰?」「子供?」「ふみ緒さんの孫、とか」「んなわけねーだろ」「お嬢ちゃん、誰?」「ちっせーな、飯ちゃんと食ってんのか?」「おやおや」「迷子かな?」

食堂に来たみんなの声を聞き、一瞬、肩を揺らし、件の幼女はこちらを見た。表情のない顔は整った顔と相余りまるで人形の様に見える。こちらを大きな目が見つめてくる。

「どうした?迷子か?」そう言って、伊武崎が声もかけるも反応がない。動かない。大きな目から伊武崎が目線をこちらに戻す瞬間に、
「!」
女の子は、椅子から降りて、厨房の方に駆けて行く。

「おや、畑仕事は終わったのかい?」
少しして姿を見せる寮母。寮生一同戦慄が走る。

まさか、あの子・・・、

「理美、どうしたの。ずっとくっついて、動きにくいでしょう?」
寮母の後に続いて年若く、澄んだ声が耳に届く。ふみ緒の背後から、大きな皿を持った女性が現れた。

艶やかな黒髪は肩につかない所で綺麗に切り揃えられ。長い睫毛に縁取られた目は目尻に赤いアイシャドウが少しつけてある。
優しくも儚げな印象の美人。自分達と変わらない年齢の女性。

「水志先輩?帰って来てたんですか?」
一色先輩が声をかけると儚げな表情にほんわりと笑みを浮かべる。

「ただいま。お久しぶりだね。一色君」

優しげな顔は笑みを浮かべられた所為か、より一層暖かく。儚げに見えた。

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