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幸福のレシピを貴方に。(食戟のソーマ)

第3章 一章


学園を抜け、指示された経路を目指す。町から離れていく。
この先には家も、何も無い。山しかないはずなのだが

「目的地に到着しましたが、」
案の定、目の前には町外れにある小高い山に入る入り口しかない。


「おっ、着いたみたいだな。神菜・・・って、寝ちまったのか」

声をかけられた神菜は多少身じろぎをするものの顔色が悪く起き上がる様子もない。

「少し熱が出てきたみたいだな。巴の」
巴形薙刀が心得たように神菜を抱き抱えて車から出る。

「世話になったな?」「アリガトー」
そう言って車から出る。明紀も鞄やらを持ち出て行く。

広い場所に出た上背の男が神菜を背負いなおす。
評議会室に来た男の子や彼と同い年くらいの女の子が険しい顔で神菜を見てから、後から降りた明紀に何か話しかけている。
すると、明紀が困ったような顔で話す。

「どうした?」
不穏な気配を察して竜胆が車から出て声を掛ける。

「いや、その、」戸惑ったように明紀が言葉を濁す。
「いや、鍵が見つからなくてな」「はっ?鍵ならそこに着いてるじゃないか?」
神菜の鞄の持ち手に括り付けられた鍵を見る。門につけられた南京錠の鍵らしきものだ。
「この鍵じゃ開かないんだ。今は大将の声紋か、お嬢の持ったスペアなら開けられるんだが、」

明紀の鞄は生憎、学校の中だ。鍵を開けることができず立ち往生しているらしい。

ふと門の扉がうっすらと開く。

隙間から大きなまん丸の瞳がこちらを覗き込んでいた。

そちらに目線を送り瞬きをするとパッ!と隠れる。

「コラ、あんまり門のそばに来たらダメでしょ!アレ、なんで開いてるんだ?」

声と共に小さな子供を抱いた。隻眼の伊達男が顔を見せる。

こちらを見て、瞬きを数回。

「あれ?もしかしてリンちゃんかな?」
その呼び方と顔に覚えがある。

「光にいか?」「やっぱり、リンちゃんかぁ、うわぁ!懐かしいなぁ、りっちゃんは覚えてないか?主のお友達だよ。」

こちらに視線を向けてくる幼子に竜胆は笑いかけるもすぐに隠れてしまった。

「で、どうしたの・・・って、主?」
グッタリとしている神菜にようやく気付いた光忠。
「すまない、色々あって・・・」「とりあえず部屋で休ませてあげないと。」
扉の前を譲り入る様に促す。
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