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幸福のレシピを貴方に。(食戟のソーマ)

第3章 一章


「うゔー、車も駄目、気持ち悪い」
「大丈夫?」
あれから車を呼んでもらい。車には運転手と病人とお迎えに来た三人。一応、看病等の付き添いで明紀、車を返す際と途中まで代表として見送る為竜胆が乗っていた。


車の中で横になる神菜は先程より顔色が悪い様に見える。
具合の悪い人間をからかう程、無慈悲ではない。辛そうにしている神菜の頭を明紀は撫でてやる。

「水飲むか?神菜?」神菜の家までの道案内も兼ねて助手席に乗っていた竜胆が水を差し出してくる。「いらないー、今飲んだら確実にリバースする」
重症だ。
「・・・・・」
巴形薙刀が無言で神菜を抱き抱えた。

「やめてー、おろしてー」「しかし、具合が悪いのだろう?」
刀の付喪神の中でも名も逸話ない彼だが、付喪神になる程度の霊力と神気は持っている。
神菜の今現在の不調は、出血による貧血の為というより、複数の刀を人間の姿で顕現させている為という傾向が強い。

普段刀剣男士は人型に顕現させているだけで霊力は少量の消費で済むし、一定以上の霊力が無いと基本は見えない。が、一般人にも見えるようするには人間として顕現させるか、刀剣自身が力を強めるしか無い。人間として顕現させるには霊力を大量に消費する。
後者は薬研なら大丈夫だが、今は疲れている乱と巴形にそれは酷。また、その場合怪我をした状態で、明紀に見えてしまう。

顕現を二振りだけ解いておいても、勘の鋭い明紀が長い時間車にいて髪飾りに気づく可能性もあるし、迎えに来たのが小柄な薬研だけでは不審がられるというのもある。その場合やはり、誰かが車に同乗してもらうリスクが高くなる。

衆目の中で怪我を負った為。敵影が評議会室の近くで徘徊していた為。早急に止血しなければいけなかった為。全ての偶然が重なってしまい、人前に出さざる終えなかった。
結局、車に同乗されてしまったが明紀と竜胆ならまぁ、大丈夫。

とはいえ、

「お願い、羞恥で、死ぬから」

触れる箇所を通じて送られてくる霊力で幾分か楽になるが、正直言って恥ずかしい以外の何者でも無い。
あのまま担がれて帰るのを拒否したのもそれが理由だ。まぁ、思いの外揺れて吐きそうでもあった。

「せめて膝枕くらいで勘弁してやれ。もうちょいだから我慢な」
薬研の助言を受けて膝枕に変更してくれた。







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