第3章 一章
「おいおい、そう落ち込むなよ男ども」「メンタル弱すぎ」
「まぁ無理もないかもね。あんなあからさまに拒否られたら」
養い親の影響からか、片付けを手伝おうにも口調はやんわりと、動作は全力で拒否されて、男子全員固まった。こんな塩対応普段はしないしする機会がない。
「でも大丈夫ですかね?怪我していましたし」「大丈夫だよ。お迎え来るだろうし、あたしらが行っても邪魔だろうしゆっくり休めないよ」 「というか、医務室のスペアキー持ってる事にびっくりした」 「本業が特別だからね。意味のない事は言わないよ。言葉足らずだけどね」
自身の血や自身が長く所持しているものは絶対渡さない。
まあ、同じ屋根の下で暮らしている私ならいいんじゃないかとも思うが、いや、流石に図々しいか。
「まっ!お迎えが来たら一緒に様子見に行けば。それくらいなら許されるでしょ」
・・・・・
・・・・・・
「ああ、そこだ!」「みぃつけた」
指示通り、屋外に出てから仕留めていく。が、すでに日も落ち始めている。残り二振りがなかなか見つからない。
「乱藤四郎。大丈夫か?」「ちょっと辛いかも。でも大丈夫。巴さんの方が傷ひどいし大丈夫?」「まだ支障はない。が間も無く日も落ちる。こうなると些か部が悪くなりそうだ。」
あまり深手を負いたくはない。薙刀は治癒に時間がかかる。それに主人や妹御は大層気に病むだろう。
「巴さん!危ない。」「乱の!?」
乱が巴形薙刀を庇い敵の凶刃を受ける。間髪入れずもう一体の凶刃がこちらに迫ってくる。
「この!薙ぐ・・・っ!!」
薙刀で払うも剣戟は一体を仕留める。残り一体。既に日が落ちた。それに、何より敵のすぐそばで気絶している乱に刃が当たる危険があった為加減をしたせいだ。
敵短刀が怒りの咆哮を上げ、こちらに向かってくる。
「くっ!」目を閉じて痛みが来るのを待つ。しかし、痛みは来ない。
ギギィ・・・・。
か細い声と共に敵短刀は倒れた。その体には柄が見えなくなるほど深く刃が刺さっていた。
「わりぃな。ぶっすりいかせて貰ったぞ。」
怪しげに光る紫の瞳が事切れた敵を冷たく見下ろしていた。