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幸福のレシピを貴方に。(食戟のソーマ)

第3章 一章


「ごめん、紀ノ国さん。救急箱からガーゼ何枚か出してもらえる」
「は、はい」
そう言ってから自分の執務机を物色する。

米神から流れる血が、ジャケットを脱いだ白いシャツの肩口を赤く染めている。
かなり深い傷である。また、先程の発言から察するに怨霊だと思った人影はどうやら彼女だったらしい。

申し訳ないとは思うが、無茶言うな。と、思う。

いや待て、それ以前に

「ど、どうしたの?その傷。転んだ? チャリで撥ねられた?
何かぶつけられた?」
「いや、まぁ、うん。」「嘘っ!?誰に!!??」
司達を見る。全員蒼ざめ、眉間に皺が寄ってる。

「食戟の対戦者のセコンドしてたんだけど、野次馬どもの投げた缶が頭ぶつかった。」「うわぁ。」「運が悪かったな」
「運が悪いというより、ここの連中が常識なさすぎ。100歩譲って、ヤジ飛ばしは目を瞑るけど、調理中に物投げるのはやめてほしいわ。偶々、今回私だったけど。下級生の女の子に当たりそうになってたよ」

そうでなくても食品に埃やゴミが付くようなことがあっては審査がまともに出来ないだろう。

「とりあえず、委員会には伝えておくよ。」
「はい、先輩。ガーゼと消毒液です。」
紀ノ国がそう言ってガーゼと消毒液を持って立っているが、
「あ、消毒液まで。ありがとう」
吹きかけようとしてくれるのを制して自分でやる。
消毒液吹きかけて、ガーゼで抑える。が、やはりバックリ切れているためすぐにガーゼがダメになる。

「おいおい大丈夫か?医者行け、医者。」「いやむしろ医者呼ぶか?」
「いいよ。竜胆。呼ばなくて。アキちゃんもヘーキだから、ハンカチ閉まって」「はい、神菜。ガーゼ。」「しかしまるでナイフで斬ったように裂けてるな」
茜ヶ久保が新たにガーゼを持って来てくれる。

「こういう事もあるから厳重注意してね。」
ガーゼ全部重ねて米神に当てて、机に入っていた自分のタオルを巻く。
「よし。迎えくるまで医務室で休んでるわ。」

机の中から医務室の鍵を取り出してから、血で汚れたものを片付け始める。

「先輩、それは僕らでやりますから」「そっすよ」
「ありがとう。でも良いの。久我さんに一色くん。触らない方がいい」
二人とも、潔癖でもなければ血が怖い訳もない。

しかし、神菜に頑として譲らなかった。





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