第3章 一章
刀剣達の報告では敵が五振りしかいなかったとの事だったので、気にはしていたがまさかこんな所にまで出くわすとは思わなかった。
目視で確認したが太刀。恐らく屋外から出た瞬間奇襲をかけられるだろう。
忌々しい、それに、未だに滴り落ちる血も煩わしい。
会場の観客にも物申したくなり口を開く。
「 物投げ込んだ非常識な連中は常識を覚えろ。女の肌は簡単に傷つけていいほど安くないぞ。」
投げ込んだであろう生徒達が複雑そうに居た堪れ無さそうに目をそらす。
「騒がしてゴメンなさい。医務室行ってくるわ。で、悪いけど今日はこのまま帰るわ」
未だ固まってこちらを見てる小西や田所と実況者。そして異様な雰囲気に調理が止まってしまった。両者に声をかける。
無造作に米神の血を拭いながら鍋蓋を小西に渡す。
「槍が降ろうがゴミ降ろうがそれで守れ。男子で先輩だろ?少なくともそれくらいの器量持ちなさいよ」
ジャケットを剥ぎ取り、床の血をそれで拭ってからその場を出て行く。
(薬研悪いけど、こっちに来てくれる?少々部が悪い)(わかった)
・・・・・・・
・・・・・・・・・
それから数分した頃、折敷はまた扉を開けて廊下を確認した。これで何度目だろう。明紀にも多少霊感があるとはいえとても微々たるものだ。例え見えたとしても対処なんて出来ない。気にするだけ無駄。だというのにこうして人の気配がすると扉を開けてしまう。
やはり誰も居ない。扉を閉めよう。そう思った時スルリと人影が見えた。遠月の制服を着ている。が、顔のあたりが真っ赤だ。ヤバイ、そう思って全力で扉を閉めた。
「おい、うっせーぞ扉は静かに閉めろ」「わ、悪い、女木島。つい」「どうしたのだ、折敷、貴様らしくない」「なんか顔色悪いぞアキ」「どうしよう。どうする?真っ昼間なのに幽霊見た。って言ったら?」
「もう一度確認する。」「写真とるかな?」「気のせいでしょ」
「仕事する」「疲れてると思って休みます」「医者行け」
全員信じてくれない。と、
「いや、確かに見たんだって、顔半分血塗れの女子生徒がありゃきっと恨み辛みを持って死んだ怨霊だって」
口に出したら余計恐怖を感じ、震え上がる。
「誰が・・・・怨霊よ」
声と共に件の幽霊、基、米神から血を流した水志神菜が立っていた。