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幸福のレシピを貴方に。(食戟のソーマ)

第3章 一章


「おはようございます。二人とも早起きですね」
優しく、おっとりとした声と共に振り返る先輩。
朝陽が僅かに差し込む為髪が普段より明るく見える。
朝日のようなオレンジ色。

「あれ?小西先輩はきてないんすか?」
「そうみたい。あとで引っ叩いてやらないと、試作はどうですか?」
ニコニコと笑いながら冗談を言うこの先輩は丼研の部員ではないものの何かと協力してくれている人である。
三年生ということらしいが雰囲気が柔らかでおっとりしているため親しみがわく。
こちらにゆったりと近づいてくる。肩越しに何かが一瞬見えた気がするがすぐに見失う。
髪の色が普段どおりの黒に戻っているので光の加減でそう見えたのかもしれない。

「水志先輩だけっすよね?」見間違えである事を確認する為問いかける。
「・・・・いいえ」

へ?

「ここには幸平さんと田所さんもいるでしょう?」
嗚呼、そう言う意味ね。

「にしても、小西君遅いなぁ。そろそろ部室に来ないとまずいのに」
スマートフォンを取り出して何やらぽちぽちと打つ
その間に騒々しい足音がこちらに近づいてくるを


「すいまっせん!寝坊しました!!マジで反省してますんで、部室の修理費値上げは勘弁してください!!!??」「あ、きたきた。もーおっそいよ小西さん。というか、部の存亡かけた食戟の日なのに寝坊とか、いっそ敗北した方がいいんじゃ」
「あ、あーっ!っと幸平!
頼まれてたもん揃えてきたぞ確認してくれ
先輩、この辺の壁貼り直してくれたんすか、いやー有難いッス。
田所冷蔵庫から保冷剤出してくれ」「は、はひ」
はぐらかした。クーラーボックスに入れてある食材を確認する。それなりにいいもん揃えてあるし買い忘れもない。一先ず安心。

「あ、やべぇ!?冷蔵庫壊れてんだった!?保冷剤別の部から借りて来ないと」
「あー、それも直しておいたよ。全くメンテナンスちゃんとしないとダメだよ。」
「つか。スッゲー綺麗になってるっすね。この辺の椅子やこのロッカー、凹んでたりネジ無くなってたのに新品みたいじゃないっすか」 「まぁ、ね。」
若干、引きつったような居た堪れない様子で言葉を濁す先輩。






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