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幸福のレシピを貴方に。(食戟のソーマ)

第3章 一章


真夜中、月が眼前を照らす頃に、漸く理美が寝入った。
早めに帰ってくるつもりがとんでもない時間になった所為でもある。
二人で食べるように言っておいた。カレーも残していた。

そんな妹を湯に入れ、自分も一緒に人心地ついた後、残していたカレーを温めて食べさせ、布団に入れ、寝かしつけた。

普段ならこの後簡単に明日の出陣先を決めて、雑務をこなしたらあとは自分もゆっくりと出来るのだが、今回はそんな事している余裕はない。
休息を取らず、皆が集まっているだろう広間に向かう。


「ああ、おかえり随分遅かったね?」「ちょっとね。中々寝てくれなくて」
「無理もないだろうよ。アンタ今日は早く帰るって言ってたのに、随分遅かったからな」
「それでもいい子に留守番されておりましたよ?」
「皆が、妹のそばにいてくれるおかげです。ありがとう。」

そう言って礼を述べる。

「さて、主人よ今後の任務について少し、話したいのだが」
「任務について?」
はて何か不備があっただろうか?

「今後の主人の護衛にこの俺がつくことになった。それに伴い現世について学びたいのだが」「へ?」
「おい巴形、抜け駆けすんな。まだお前が行くとは決まっていないぞ」「厄祓いならばこの私が」
「そうだ。護衛はこの俺、へし切長谷部が行う。」
「大きいと入らないよ?・・・刀身の事だよ?。ここはひとつ脇差しの出番じゃないかな?」
「オイオイ旦那、守役で屋内ってんならオレらの出番だろ?」

いや自分が、私が、と声を上げるが、

「待って、護衛なんていりません。今まで通り出陣や遠征に力を尽くしなさい」
その言葉に皆押し黙る。

「何故ですか?主?我らでは力不足だと?」
「一期一振、そうではありません。以前も申し上げた通り、貴方方は歴史を守るために我々が政府からお借りしている存在。それを疎かにしてはなりません」
「政府からって言うけど俺たちにとってはアンタが主なんだけど?」
「僕たち出陣だって遠征だって手を抜かないよ?」

「ともかく、不要です。心配だというならば政府に護符でもなんでも頂いて万事抜かりない様努めますから、光忠からも何か・・・」

助け舟を出してもらおうと近侍の方を向く。
普段通り事の成り行きを見守っていたこの本丸一の最古参の刀はそっと口を開いた。



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