第3章 一章
書類整理がもうそろそろ一段落する頃、ふと時計を見るとそろそろ夕方に差し掛かる時間。
「・・・・はい。今日と明日の分」「あぁ、すまない。」
優しくこちらに微笑みかける顔は白皙と呼ばれるにふさわしい肌に若干青味を帯びている。連日の書類整理で相当疲れていると見た。
「おっ!もう終わったのか。ならちょっと休もうぜ。」
そう言って背中に張り付いてくる。
「ダ~メ!行くところがあるから。あと明日は手伝いには来ないから」
バイトも明日はお休みでたまの休日という奴だ。
「え~!!??たまの休み位一緒に遊ぼうぜ?最近冷たいぞ神菜」
「・・・・・大体、私は仕事終わったけどリンちゃんはまだお仕事残ってるでしょ?」
机の上に高い山を築いた未決済の書類を見る。
「大丈夫。司に押し付けるから」「え!?」
青い顔がさらに蒼褪める。
「竜胆・・・」
少しだけ怖い顔をして見つめる。
「はーい」
「明日の予定が終わったら少し顔を見せに来るよ」
そう言って、机に置かれたお茶を飲む・・・うん、冷めてる。
「ごちそうさまでした。それじゃ!」
そう言って会議室を出る。
・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
「言い忘れてた。今日帰り遅くなるから、ご飯適当に食べてて」
慌てて会議室に戻る。
理美の分はお弁当にして持たせているから大丈夫なはず
「おー・・、つーか。昨日あんたが作ったカレー大量にあるからそれ食べるわ」
「そっか。あと頼むね」
「おー」
今度こそ会議室を出る。
「先輩いつも忙しそうっすよね」「まぁ、バイト掛け持ちの上、早朝、深夜、問わず借り出されるブラック企業で勤務してる上、妹の面倒見てるからね」
「その中に自分の世話について言わない辺り、折敷先輩らしいです。」
「確かに間借りしてるがね、一色くん。アイツはボクに対してなーんも世話焼いてないから、妹のついでにっていう延長線だからな!」
ついでにいうと、あの味音痴の光忠の飯を毎朝いっしょに食べているのだ。それで帳尻合わせがつく。
「でも、家賃支払ってないんですよね?」「・・・うん」
「水道電気光熱費支払ってないんっすよね?」「うん」
「それでドヤ顔されても」「ちょっと説得力ないぞ」「せめて食費くらいは払え。」「アキは大食いなんだから」「はい」訳がない。