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幸福のレシピを貴方に。(食戟のソーマ)

第3章 一章


「・・・イケるぞ!コレは」「あとは、この丼を彩るタレを構築するだけだ。」

研究室のある廊下から賑やかで明るい声が聞こえる。
準備は大分整っていると見た。
微笑ましさに笑みが深まる。

・・・・・
・・・・・・・・

サワサワと木々の葉が擦れ合う音を聞き、ふと外を見やる。
落陽が始まり、すでに空が暗い帳に身を包んできている。

それを神菜は険しげに眉を寄せ睨み付ける。


・・・・・・・


一方、幸平達は明日の食戟の準備の為ラストスパートをかける。
このままでは決定打にかける。丼の持つ最大限の特性を活かす究極のタレを作る為腕を捲り調理に取り掛かろうとしたが。

「やっほー。盛り上がってますねー。」
間の抜ける声と共に振り返る。
最近、随分と親しくなりつつある先輩が立っていた。

ニコニコと人好きのする優しい笑みと共に手にはちょっとした軽食を持ってる。差し入れに来てくれたらしい。

「準備は進んでますか?」「ウィッス!スッゲー美味いんすよ。こいつのシャリアピンステーキ丼。先輩もどうすか?」幸平に聞いた筈が小西が応える。
「けど、もうちょい。ひねりたいんすよね。」「そう、頑張るのはいいけれどそろそろ夜が来る。今日は帰りなさいな。」
「けど。」「試作は寮でも出来るし、明日が食戟の本番なら食材を買う必要もあるでしょ?」「そうですけど」
せっかくやる気が湧いてるのに、出鼻を挫かれた気分になった。
しかし、先輩はどこ吹く風だ。
「それに、ちょうど空調を直す部品が手に入ったしこれを機に少し備品を直したいのよ。悪いけれど今夜は部室を私に貸してくださいな?」
ニコニコと笑顔でそう言った。
「せ、先輩。あの俺、金は・・・」「この間出した見積もり分だけで良いわ。それとコレで明日の分の食材も買い揃えてあげなさい」
既に金欠の小西はこの言葉にホッと息をつく。ついでに食材費まで、コレは断りづらい。
「さぁ、怖い鬼に、捕まる前に。今日は帰りなさいな」
そう言って促される様にしかし何処か強引に部屋から追い出される。

「んじゃ、食材買ってくるわ。追い出されたからな。明日俺が持ってくる任せたぞ。幸平」「寮で試作するか。行くぞ田所」「う、うん。」

ふと窓の向こうを見る。闇に覆われた空を一線する赤い閃光が輝いていた。
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