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幸福のレシピを貴方に。(食戟のソーマ)

第3章 一章


「うん。今までの事思い返しても、一度としてあんな声聞いたことなかったな。うん。とても貴重だわ」
「・・・さいですか」

普段中性的な容姿とサッパリした性格が合い余り。同級生から『貴公子』だの『男装の麗人』などと持て囃されてきた目の前の人間。
普段の平静を装い余裕綽々の表情を崩す事の無い顔。
それらは全てなりを潜め、今は酷く疲れた顔で湯船に浸かっていた。

「一瞬、誰の声か分からなくてお客様かと思った。」
「・・・・さいですか」
反論が無い。相当参ってるなぁ;
原因はまたしても今日顕現したばかりの刀剣だった。
各自自由行動を頼んだ筈がまさか、鶴丸国永の玄関トラップに引っかかり、着替える間を与える事なく鉢合わせするとは紛う事なきトラブルメーカー枠だ。

「とりあえず、鶴丸と君が合同で作ったトラップは回収した」
「おぅ」
原因は今頃、光忠にコッテリ怒られてるだろうが、妹よりもお目付役が必要な刀剣が増えてしまった。
が、あいつらの面倒見てくれそうな同郷のよしみはレア刀剣達だ。 鍛刀して手に入るかも分からないし、延享の記憶に出陣なんて以ての外。
どちらにしろ。限られた資材が溶ける。

「運良く今回出陣先で拾ってきた槍が蜻蛉切だといいな」
「高望みは良くないと思う。鍛刀運もドロップ運もないんだから」
少しは元気が出てきたようだ。が、

「聞き捨てならないなぁ」「事実でしょ?最初の顕現こそびっくりしたけど打刀鍛刀で連続歌仙三体来たし。その後ドロップでも歌仙が2回ほど連続して出てきて、君どんだけ初期刀に愛されてんの?」
 「甘いなぁ・・・。そんなの序の口だよ。厚保樫山に連続出陣して、先輩審神者から本陣確定陣営を引き連れて、本陣見つからずに帰還してきました。言われる人間の気持ちわかる?」

 さまざまな刀種の組み合わせでかれこれやったが未だボスマスにたどり着けずにいるのだ。
 件の刀ドロップは勿論。夜戦も極修行も夢のまた夢だ。


 「・・・それで蜻蛉切来るかもとか高望みもっとダメでしょ」「人間夢を持った方が・・・」「夢が打ち拉がれて地べた這いつくばって泣く事になるかと
 でも、ま。そんなに自信あるなら今日の鍛刀で見事レア枠獲得したら・・・飯奢ってやるよ」
 「言ったな・・」

 人の悪い笑みを互いに浮かべて風呂場を出て行く。 


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