第3章 一章
夜七時ともなるとやはり春とはいえ外は暗くなる。
最近アルバイトを始めた店は短時間でもそれなりに稼げるので高校生には助かる。
「元々よく食べに行っていた店の上スタジエール先の分店に雇われるとは世の中って凄いわ」
店長いい人でお土産にご飯いっぱい頂いてしまった。
外食してくると言った手前、やはり同居人の食事情が気にかかり、バイト先の賄い飯と近くの惣菜屋の特売品を手土産に帰路へと目指す。
せっせと貢ぐ辺り、私は玉の緒を掴まれている。しかも貢ぐ相手は旦那ではなく同姓の上、片方は幼女。
更に言うと。既に二桁単位になった同居人の大半は人ですらないのだが気にしなくなった辺り自分の神経の図太さに感服を覚える。
「色々と残念なスクールライフ」
と言うのが正直な気持ち。一年前までは少し貧しくも好きなことして人恋しいと寂しくしながらも気ままに一人暮らしを満喫していたが何故こんな事に。
いや、自分で蒔いた種ではあるが。
「まぁ、目の保養にはなるけどね」
人外の同居人は複雑な事情があり詳しくは私も教えられないが、全員ものすっごい美丈夫な上、世間知らずだ。
そんな人間にキワモノ飯食わせるのが最近生き甲斐になっていた。
「そろそろ警戒されるから今回は普通の惣菜しか買ってこなかったが、」
確か台所にタバスコがあった。これを大量に入れて提供して驚かせよう。と企画していた。
まぁ、幼女がいるからその辺は気をつけねば、下手したら門前に締め出される。
そんな事を思いながら、何食わぬ顔で門を開ける。
「たっだいまー!」そして元気な声で家へと帰ると
「おや、オカエリなさい。huhuhu」
何故かお風呂上がりの様に腰にタオル巻いた筋肉隆々とした怪しげな男性。
「いっやぁぁああああっっ!!!?」
あらん限りの悲鳴をあげて、通学鞄を投げつけた。