第3章 一章
「・・・お、目が覚めたかい?」
「ん」
泣き疲れて眠ったらしくお布団から起き上がると目の前には綺麗な金色の瞳が見えた。
彼はこの本丸で初めて見る刀剣男士だが、初めて会った時から人見知りしなかった。
「あんま、ねーちゃんやみっちゃん達、困らせないでくれよ。
あれでいて結構忙しいんだから。」
そう言ってわしゃわしゃと髪を撫でられる。
返事が出来ず項垂れる。勿論、困らせたくはない。
みんな忙しいのも理美自身もわかってる。でも寂しい。一人でお部屋にいるのは嫌。お外に出るのはダメ。皆んなの側にいるのは怖いしお仕事の邪魔になる。
「よっ!と。」「!?」「とりあえず、怪我がなくて良かったな。薬研達に御礼言わなきゃな。」「・・ん」
「んじゃ、あいつらに御礼言いに行くか。
・・・・んあ、どうした?
大丈夫だって、万が一、叱られそうになったら俺が一緒に謝ってやる。」
御礼を言いに行く事に躊躇いを覚えて服を握りしめると優しく微笑んで短刀は言った。
「だから、行くぞ。んで遊んで欲しいって自分から声かけんだ。
あいつらはもうアンタ等が知ってる皆じゃない。その代わり、アンタ等とこれから新しく関係を築ける。その最初の一歩をこれから踏み出すんだ。」
小首を傾げていると短刀は自分と同じ目線まで高さを合わせてくれる。明るい橙色の様な蝋燭の灯にも似た金色の瞳。
「今まで、ここにいた刀剣は前の主から自分の生き方、過ごし方、アンタらの好きな事、好きなもの全部教えて貰ってお前らと付き合ってた。でも、今度はアンタは何が好きで何をしたいか。俺たちに教えてやる番だ。大丈夫。俺がしっかり盛り上げてやる。
ちゃんと主人にどうしたいか伝える事が出来たんだろ?あいつら相手でもちゃんと出来ただろ?」
今回の件も、今まで皆と打ち解けずにいた理美が初めて刀剣達に自ら歩み寄り鍛刀部屋に行きたいと強請ったのだ。それを彼はちゃんと見ていた。
「だから、行くぞ。」「うん!」
理美に優しく少し悪戯っぽく微笑む刀剣を見てふと、わかった。
似ているのだ。と
こちらを優しく微笑む様が祖母の今剣似ているのだ。と
そして瞳の色が燭台切光忠とおんなじだと。
だから、怖くなかったんだ。