第3章 一章
「・・・・う、ま、マズイ。」
食卓に出されたのはお世辞にも美味しいとは呼べない料理。
「当代の主人は料理下手とは、嫁の貰い手に困るぞ」
鶴丸国永は早々に食べるのをやめて何処からか見つけて来たお酒を飲み始めていた。
「まぁ、今の世の中結婚しなくてもどうとでもなるけどね。
とりあえずそのご飯作ったのは私じゃないよ。」
「ごめん、僕なんだ。」
居た堪れなさそうに、手を控えめにあげる燭台切光忠に伊達の刀達は目を疑った。
「うそ、だろ?ミッちゃん??」「おいおい、如何してだ?光坊。」「なにか悪いものでもたべたのか?」
「い、いや。その、なんて言うか、僕、不器用というか・・」
「簡潔に言うとこの本丸の前の審神者が原因」
「神菜のばっちゃん。料理苦手だっけ?」
「ウチの祖母は料理出来るけど、自分で食べるものにこだわりがなくて、そんな祖母が鍛刀したせいか」
大名でありながら客人には自分の手料理を振る舞いもてなしたと伝記されている。かの伊達政宗公の刀である長船派の祖『燭台切光忠』
しかし、当家の彼は
「僕、スッゴイ味音痴みたいなんだ」
「「うわぁお・・・」」「驚きだぜ」」
「へぇ、ちっさい頃ここに遊びに来ていた時、色々食べさせてもらったりもしたけど他の刀剣達はそんなでもなかったんだけどな。」
「光忠は比較的初期の頃からいた刀で政府間との審神者の力の連結?が上手くいかなくて、審神者の力をより強く受け継いでしまったんじゃないかって言われてる。そのあと報告して即解決。その後の刀剣には影響なかったらしいけど」
その初期組はそのまま呪いじみた特性を受け継いでしまっていると。
「最初の頃はほぼ短刀の子ばかり鍛刀していて、見た目子供に台所立たせることもなかったからね」
「料理は苦手だけどそのかわり家事全般は得意だよ。
できなくても主が料理学校通ってるからお料理には困らないし」
カッコいい光忠がそんなカッコ悪い台詞言うなんてとカルチャーショックを受けた顔がとても印象的でした。