第3章 一章
「落ちこぼれだから、媚び売って卒業に漕ぎつけようって訳かよ。 お前なんかそいつらがいなければ、その辺の石ころじゃねーか」
一体何が言いたいのだか、呆れてしまう。
「別にね。秘書辞退しても良いんだよ。退学したところで別に支障も・・・まぁ中退っていう不名誉な肩書きつくけどとりあえず何とかなるだろうし。でもね。」
「アンタが秘書業、勤まるとは思えない。悪いけど」
「何だと!?」
「十傑達の秘書務めるのに必要なのは料理とかの技術じゃないから。特に竜胆。他の人に仕事押し付けて辺境の地行く人間をいかに捕まえ連れ戻し、仕事をさせられるか、毎回連れ戻しに行くだけでも命がいくつあっても足りないし、仕事させるのも一苦労だよ。」
「・・・・・・・。」
「大体、十傑秘書なんて、肩書きだけ大層なだけで、自己中人間達の尻拭いする。唯の雑用だよ?まぁ、皆について行って貴重な書籍や海外の調理法知る機会が恵まれてるけどそれさえ本人の技量でしょう?雑務終わらせないとソレ不可能だし。」
「・・・・・・・・。」
「退学に関しても、口添えがあったけどそれなりの技術がないと成立しないよ。学校側に何のメリットも無ければ落とされる。力なきものは淘汰される。此処はそう言う場所でしょ?」
この学園はたかがコネだけで過ごせる程甘くはない。
「それと、捨て石だ。路傍の石だ。言ってるけど、刃を磨くのも玉を磨くのも、砥石。その辺はよく覚えておいたら。
三年にもなって、『捨石』なんて言われたくはないでしょ?」
ここで高校三年間生き延びる事の厳しさを休学していたとはいえ良く知っているつもりだ。
「まぁ、才ある人間でないことは理解しているよ。
でも、おめおめと打ち捨てられるつもりはないよ。
砥石らしく擦り切れ削れるその時まで輝きを与える。」
「・・・・・・・・。」
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
「ここにいたのか。さっすが神菜かっこよかったよ」「茶化すな。」「というか、十傑がのんきにご飯食べてて良いの?」
友人とご飯を食べていると十傑の面々が声をかけてきた。
「書類整理終わらせた」「俺も」「拙者も」「司に押し付けてきた」
「「おい」」
「あれ?神菜、今日は飯どうした」
「・・・。」
ソッと視線をそらす。
(今朝のお握り食べてから、顎痛い)