第3章 一章
「っ・・・・固っ!?」
食事を用意して貰ったものの、本当に登校ギリギリの時間だった。
食べる暇なし、かと言ってせっかく用意して貰ったものを食べずに出て行くのは気がひける。取り敢えず焼き魚とご飯を手ごろな形に握って、行儀が悪いが走りながら食べた。
しかし、驚く程固い。水が足りなかったとかの問題じゃない。お世辞にもアルデンテとは言い難い、むしろ生米。魚も焼き目がバラバラで焦げてる所や生の部分がある。これ逆に凄いわ。黒焦げ箇所の隣がほぼ生ってどう言う事だ?ガスバーナーでも使ったのだろうか?うちにそんなもの無かったはずだが。
そんな事を考えながら教室までのラストスパートをきった。
・・・・・
・・・・・・・
ホームルームが始まるまであと、数分。未だにガヤガヤと話している。廊下からけたたましい足音と共に扉を蹴破られた。
扉を蹴破ったのは意外にも清楚な雰囲気の女生徒。肩に付くか付かないか位の髪の中に一房だけ長い黒髪を束ねて団子状に纏めている。
花の盛りの春に珍しく、少し肌寒い気温の中に関わらず。汗だくの姿。キョロキョロと教室を見回し。
「ま、間に合った〜。」
扉の前で膝を折る。肩で息をしているので呼吸が整うのはもう暫く掛かりそうだが間を置かずに担任が入ってくる。
「おはよう。斎藤さん」
「お主、無事・・・進級出来たのだな」
「う、うーん。まぁ、色々あってね」