第4章 ドキドキ!?宿泊研修。えっ!3年生だから参加しませんよ?
「………と、言う事は。同じ学校の同級生とお付き合いをしてるの。まぁまぁまぁ。」
「しかも、付き合ってから早2年。手も繋いだことも無い清い関係とか、若いなぁー。愛されてるー」
「何言ってんですか!女子高生はむさ苦しい独身男達の穢なき夢。男は狼なので気をつけなさい!不純異性交遊ダメ絶対!!キスもNG、手は握手程度なら…清く正しく美しい恋人ライフを心掛けください!関係を強いる様なら即日別れてください!」
「うら若き乙女に嫉妬とは見苦しいぞ。こいつのいう事は九割無視して構わない。が、男は獣である事には同意だ。嫌ならば嫌と言うべきだし、無理強いされないよう程よく手玉に取るといい」
近所のお…否、お父さんお母さんみたいな反応に少しドン引きしながらも頷く。
「でも、大事にされてて、良かったわ。素敵な方なのね?」
「は、はい……というか、私には勿体無いくらいの人で…何故私なんかが……他に良い人がいるのに」
清い関係というか、なんというか、お互い、そういった感情の機微が薄いというか、色々な事に対してタイミングを逃して今に至るというか。
というかこんな事を自分の刀の前で暴露して良かったのだろうかと今更ながら不安になり、チラリ、と歌仙兼定を見る。
目元を和ませ優美に口の端が上っている。トロリと蕩ける様な笑み。知らぬ人間が見たなら祝福の籠もった笑みだと思うだろう。が、これは明らかに怒っている。
言外に、『初めて知ったよ?何でこんな大事な事僕に言わなかったの?』って言ってる。怖い。
初期刀は政府が媒介を支給し審神者に選ばせる刀だ。鍛刀や戦場で見つけるのとでは扱いや性質が多少異なるらしく、主への執着は強いものの、独占欲や嫉妬心がほぼ無い。
他の刀や神隠しに対して抑制の為にだ。
「まぁ、恋人ができたなんて言いにくいよねー。
大事にされてるなら良いよ。それ位俺たちにとっては大事な人だしね。こんな御時世だし、隠したくなる気持もわからなくもないけどね。」
と此方にウィンクする花守様。
多発している神隠し事件。勿論、思い合っての事もあるが、それ以外の事も噂されている。
それでも、逃げずに共に戦う者もいる事も事実。
絆というのは本当に凄いものだ。