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幸福のレシピを貴方に。(食戟のソーマ)

第2章 序章


「あははは、良かったじゃん。無事最高学年の上、学費免除で」
「代わりに雑用継続。こうなると思って大人しくしてた訳ね」

色々と美味しい話ではあるが素直に喜べない。私なんかがこんな風に友人の好意に甘えていい筈がない。

「・・・・・そんなに学校残るの嫌だったのか?」
少し不安そうに竜胆が問いかける。

「一緒にいるのが嫌な訳じゃない。学校に残れるのは嬉しいよ。唯。あんた達の思い通りに事が運んだと思うと怒りがヒシヒシと」

「大体休学してるのに、やれアフリカ行くだの、南極から呼び戻せだの!ダイレクトメール送ってきて、自由気ままにそっちは過ごしてるくせに!こっちの用事は一切聞かないし、今回の退学だって、理由も聞かないで取り消して」

理美になんて言えば良いのだろう。家におばあちゃんはいない。今までだって一人で留守番させてた訳ではなかった。
が、約束したのだ。“これからは一緒だ”と
それに退学した後就職する手筈だった先鋒にも説明しなければ。どんなお小言言われるのだろう。
溜息をつくのを耐える。怒られて少し落ち込んでいる竜胆に今、溜息つくのは不味い。

「とにかく、こっちは学校辞めるつもりで色々準備してたんだから、それ全部無かった事にするならそっちにも協力してもらわないと。手伝いくらいはするけど。一緒に行ったりは絶対しないからね」
「おぅ!にへへ。今日の書類整理は、ちゃんとやっとくぞ」
その言葉を聞いて安堵とともに手をあげ答える。

そして廊下に取り残される二人。

「これで1つ問題解決。と、」
「助かるよ。君くらいだよ竜胆が率先して手伝うのも、仕事させられるのも」「それ。竜胆が社会人になれるか不安。」

苦笑混じりに微笑むが騙されたりしない。
この男もグルなのだから。
私をこんな面倒くさい状況に陥れた事に謝罪を返しつつも自分の有利な状況を作ろうとしているのだ。
今回その策略に雁字搦めにされた。悔しくない訳ない。

「俺だって、相当焦ったんだ。何の相談もなしに、久々に帰ってくるとだけ聞いたら、中々来ないし会議室に行ったら退学する事だけ、伝えられて。同罪だろ」「みんなは私がいなくても大丈夫でしよ」

「十傑としては、な。だが、俺個人としては君がそばにいてくれないのは、辛い。」

そう言ってまた。甘い言葉や仕草で惑わす。
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