第2章 序章
寮生が小さなお客様に苦戦を強いられていた頃。姉はというと
呼び出しを受けて、緊張した面持ちで運営委員室の前にいる。
自主退学ともなると分割で支払っている授業料はこの2年間の支払いの他に施設利用費がある。神菜の場合はそこに休学料と奨学金も利用していたのでその返済も必要だ。果たしてどれだけの出費になるかと思うと、胃がキリキリと痛む。
元々、とある事情で休学する少し前から授業に殆ど出れなかったが自習はしっかりしてきた。せめて三年の進学編入資格は取りたい。と運営に相談したが果たして受理されるか?
深い溜息をついてると、いきなり背後から誰が思いっきり助走をつけて飛びついてきた。
「おっかえりー♪ 神菜!!」「竜胆・・・、ちょ、ぐる゛じい゛ーー」
飛びついてきたのは小学校の頃から一緒にいた幼馴染殿だ。
「あんた、何でこんな所にいるのさ?そろそろ会議始まるよ」
「い、いや、退学の手続きしてるから、聞いてない?」
「へ?」
寝耳に水とばかりにキョトンとした顔だ。まぁ会議室にいた中に彼女はいなかったから当然か。このまま彼女を野放しにしておくと退学を取り消されてしまう可能性がある。
「とりあえず、手続きしてくるからここで待ってて」
「えー、どうしよっかなぁ?」「来ても、口は挟まないでもらうよ。」「いいぜ」
幼馴染の素直な反応に内心戸惑った。普段の彼女ならばもっと駄々をこねる筈。
何か良くない状況に陥りそうだ。そんな不安を感じながらも扉を開ける。
・・・・・
・・・・・・・
「あんた達、そんな所で油売ってないで手伝いな!」
「ふみ緒さん。でもよぉ〜」
「好きにさせてやれ、それより飯の支度どうすんだい?あんた達はそれしか取り柄ないだろ」
昼ごはんまであと少ししかない。今日の昼はどうするか皆頭の中でレシピを掘り起こす。
そこで、閃く
「そうだよ。料理があんじゃねーか」
「創真くん?」「どうしたんだ?幸平?」
「こいつに美味いもん食わせてやるんだよ。」
「なるほど、良いかもね。」「おし!泣く子も黙る極星寮の飯食わせてやるか!」「ふみ緒さーんちょっと畑行ってくるー」
こうして、寮生全員がふみ緒と妹を残してそれぞれ出かける。
「やれやれ、好きにさせてやれって言ったのになぁ」
そう呟く。